top of page

「部下にストレスを与えるリーダーに共通する5つの振る舞い」




 いつもお世話になっております。孫平です。



 さて今回は、「部下にストレスを与えるリーダーに共通する5つの振る舞い」ということですが、みなさんの中にはリーダーを任されている人もいれば、リーダーの下で働いている部下もいると思います。



 また、将来リーダーとしての役割を嘱望されている人もいるかと思います。



 なので、現在リーダーの方はもちろん、将来のリーダー候補の方にも参考にしていただけたらと思います。





 なぜなら、リーダーの振る舞いは、部下の意欲や生産性に大きな影響を与えるからです。




 

 それではさっそく参りましょう。









部下にストレスを与えるリーダーの5つの振る舞い



 これは、心理学者のトマス・チャモロ=プレミュジックの研究内容を参考にまとめたものです。



 

①否定的な言葉遣いを好む


 様々な研究から、選択する言葉の種類や頻度と、雰囲気や気質には確固とした関連性があることが分かっている。



 それはつまり、選んだ言葉や話し方によって、意図とは関係なく、自分の感情や精神状態が相手に伝わるということである。



 部下にストレスを与えるリーダーは、ネガティブで否定的な言葉遣いを好む。しかしリーダー本人には、部下を貶そうなどという悪気はない。



 例えば、部下の失敗に対して、その失敗から部下が学べることではなく、損失や周囲への悪影響に焦点を当てた言葉を選ぶ。






・物事には必ず「裏と表」がある。リーダーは、日々の仕事の出来事について、「良い面」と「悪い面」の両方にバランス良く注目しながら言葉を選択しよう。









②予測不可能な行動をとる


 人は不確実なこと、予測不可能なことに対して非常に大きなストレスを感じる。


 そしてこれは、人間関係にも当てはまる。



 部下とコミュニケーションをとろうとしないリーダーは、部下からしたら「何を考えているか分からない存在」であり、存在しているだけでストレスを与えている。



 言動がコロコロ変わるリーダーも、部下にとっては予測不可能な存在であり、やはり大きなストレスを与える。






・リーダーは、部下と日々の仕事についてのすり合わせを行い、直前になっての指示の変更やキャンセルは極力避けるように心がけよう。










③感情に浮き沈みがある


 気分が良いときと悪いときの差が激しいリーダーは、部下にとっては非常に気を遣う迷惑この上ない存在だ。



 一般的に、部下はリーダーに対して、精神的な安定性と的確な指示を求めている。



 日常の業務に私情を持ち込み、部下の精神力を無駄に削ぎ落とす者はリーダーとして失格である。



 また、緊急事態やトラブルが起こったときも、できるだけ冷静沈着な態度を見せるようにしたい。


 

 リーダーの感情は必ず部下にも伝染するため、その後の行動にも大きく影響していく。






・感情の起伏が激しいリーダーに実践してほしいのは、瞑想、運動、睡眠である。これらにはどれも、感情の揺れ動きを緩和する効果がある。











④過度に悲観的な態度をとる


 悲観は必ずしも悪いことではない。悲観には、潜在的な脅威を事前に察知して防止し、リスクを最小限に抑え、自信過剰な意思決定を防ぐ効果があるからだ。



 しかし、「悲観すること」と「悲観的な態度をとること」は違う。



 悲観は自分の内側で行われるものだが、それを態度として外側に出せば、当然他者にもそれが伝わる。



 あまりに楽観的すぎるのも問題だが、リーダーが悲観的な態度を頻繁に部下に見せてしまうと、部下たちにも「失敗するだろう」という雰囲気が蔓延し、チームの士気は下がってしまう。







・自分の中に悲観的な考えが浮かんできても、それを態度に出して部下に見せることが、チームにとって本当に良いことなのかどうか、よく考えてから行動に移そう。



自分の行動が、部下にどんな影響を与えるかのか想像してみよう。



・リーダーシップとは、カリスマ性などの人間性ではなく、部下やチームを支えるためにどんな資源が提供できるかを考え、そのために行動する力であるということを覚えておこう。










⑤人の感情を無視する


 リーダーは忙しさのあまり、自分自身の感情の処理に集中しすぎてしまい、周りが見えなくなってしまうことがよくある。



 しかし厳しい話ではあるが、そのようなリーダーに部下が抱く印象は、「自分の管理ができていない人間に、部下の管理などできるわけがない。」だ。



 リーダーには、まずは自分自身を適切にコントロールできる力が求められる。



 そこから先で重要なのが、自分自身ではなく周囲の人々に焦点を絞り、他者に共感する力、いわゆるEI(感情的知性)である。



 名著『人を動かす』で有名なデール・カーネギーも、「人と接するときは、相手は論理の動物ではなく、感情の動物であることを忘れてはならない。」と語っている。






・リーダーは、部下の業績や生産性やタスク管理よりも、情動や雰囲気やストレスの変化を観察するほうが重要であることを心得ておこう。



・部下との1対1のコミュニケーションや、オープンクエスチョン(YESかNOで答えられない質問)を増やし、可能な限り共感を示すよう努めていこう。

 





 リーダーは、良くも悪くも部下の感情を増幅させる存在です。





 最悪の状況でも、リーダーの振る舞いが部下の能力を引き出し、良い結果を残せることがあります。



 最高の状況でも、リーダーの振る舞いが部下の意欲や生産性を低下させ、業績を悪化させることもあります。






 今回の5つの振る舞いを参考にして、今一度、本来のリーダーシップとは何かということを、自分自身に問いかけてみてはいかがでしょうか。







 それではまたお会いしましょう。






【参考文献】

"5 Ways Leaders Accidentally Stress Out Their Employees," HBR.org,May 11,2020.





bottom of page