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「無料サービスが効果的な理由」

更新日:2022年4月11日




 いつもお世話になっております。孫平です。



 普段私たちが目にするサービスをよく振り返ってみると、「無料サービス」がとても多いことに気づくはずです。



 当然ですが企業やメーカーは、利益が出るからこそ無料サービスをしているわけです。




 まずは私たち消費者が、なぜ「無料」に弱いのかを見ていきたいと思います。




 それではさっそく参りましょう。








消費者の2つの考え方


 何かの購入を決めるとき、私たちの判断基準は一つではありません。



 ネットショッピングをするときは、商品代+送料(+手数料)、外食をするときは、メイン料理+サイドメニュー+ドリンクなど、様々な費用を検討しなければいけません。




 そのとき、消費者には2通りの考え方があります。




 1つは、それぞれの商品を個別に検討して価値を見極めることです。


 例えば皆さんがマクドナルドに行ったとしたら、メインのバーガー400円、ポテト200円、ドリンク200円のそれぞれの価格や価値を検討して、何を選び何を捨てるかを判断するのがこの考え方です。




 もう1つは、個別の商品を1セットにして、その合計の価格や価値を見極めることです。


 先ほどのマクドナルドの例だと、メインのバーガー+ポテト+ドリンクのセットが800円(実際はもう少し安いですが)で、それを買うか買わないかを判断するという考え方です。






 前者の考え方の場合、消費者が商品を購入するかどうかを判断する機会は、2回3回と増えてしまいます。


 そのため、購入をやめてしまう可能性も、2倍3倍と増えていくことになってしまいます。





 後者の場合は、あらかじめ1つのセットになっているため、それを買うか買わないかの判断は1回で済みます。


 しかし、万が一消費者が「買わない」と判断した場合、売上は0円です。


 皆さんもご存知の通り、だからこそセット商品は、同じ商品を単品で組み合わせたときよりも、価格が少しだけ安く設定されているのです。



 つまりセット商品は、単品で買うよりも安くなるという金銭的なメリットに加えて、私たちが「何を買って何を買わないか」を判断する負担が減って、楽な方に流されてしまうためそれを選びやすくなってしまうのです。

 

 そして店側としては、単品だけのように購入を見送られるリスクが少ない上に、まとまった売上を得ることができます。








「無料」はもっと判断が楽


 では私たちが何かを売る側だった場合、無料サービスをどのように活用すれば有効かと言うと、「他の商品とセットにする」ということがポイントになってきます。



 再びマクドナルドを例にとると、バーガー+ポテト+ドリンク+無料のおもちゃ(ハッピーセット的な商品)が好例でしょう。


 この場合、商品は4つ含まれていますが、消費者が判断するのは「買うか買わないか」の1つだけで、判断に要する負担がかなり軽減されていることが分かります。


 消費者にとっては、単品で買うよりも値段が安く、さらに「無料のおもちゃ」まで付いているため、非常にお買い得で魅力的に見えるはずです。



 しかしこれこそがマクドナルド側の、無料サービスを利用した販売戦略であることは、言うまでもありません。


 実際はどうか分かりませんが、冷静に考えれば、「無料のおもちゃ」が本当に無料ということはないはずです。



 セット価格は、多少単品で買うよりも安いとは言え、バーガー、ポテト、ドリンク、そしておもちゃの価格がしっかり反映されているはずです。



 しかし、マクドナルドの来店者は、あくまでも食事を楽しみに来ているわけで、おもちゃはあってもなくてもいい商品です。


 そこで、「無料のおもちゃ」を餌にすることで、あってもなくてもいいけど、無料で付いてくるならラッキーだしお買い得じゃん!ということになり、セット商品の価値をより魅力的に見せているのです。


 実際には、無料だと思っているおもちゃのお金もしっかり払わされているにも関わらずです。









「無料サービス」に向いているアイテム


 結論から言うと、無料サービスに一番向いているのは、「消費者があまり重視していないもの」になります。



 まず、無料サービスを提供した結果、商品全体の価格が上がってしまっては消費者は逃げてしまうため、それなりに価値のあるものは向いていません。



 そのため、無料サービスには単価の安い物(先ほどのマクドナルドのおもちゃなど)や、極力経費のかからないサービスが向いていると言えます。






 フランスのAmazonの例を見てみましょう。


 フランスのAmazonでは通常、配送料が1フラン(日本円で約120〜130円)かかりますが、一定金額以上の購入または、キャンペーン期間中だけ配送料を無料にしました。


 当初Amazon側は、120円程度の配送料を無料にしたところで、売上にさほど影響を与えないだろうと考えていました。



 しかし実際には、売上が急増したのです。

 

 配送料120円が無料になるという、そのわずかな金額の差が、人々の消費行動に大きな影響を与えていたことが分かったのです。






 私たちが何かを売る側だった場合は、費用負担が小さく、且つメイン商品の補足的な商品やサービスを、無料セットにしてみると効果的でしょう。



 このような、無料商品と有料商品のセット販売の他にも、有料商品の購入を条件とする無料商品の提供なども、効果的なPRになります。








フリーミアム戦略


 長くなりますが、最後に無料サービスの例を一覧にしておきますので、参考にしてみて下さい。






・〇〇円以上購入でスタンプ1個獲得

 スタンプ10個で〇〇を無料サービス


(※ちなみに、あらかじめスタンプが2個押してあるポイントカードを配ると、押してない場合に比べて、特典に到達する人数が80%以上増えることが分かっている。)




・〇個買えば、1個無料サービス




・〇〇を買えば、購入者特典として〇〇を無料プレゼント




・大盛無料サービス、MサイズからLサイズへの変更無料サービス




・〇〇を購入したらついてくる商品引換券




・〇〇個以上、〇〇円以上購入すれば送料無料




・新規オープン記念として、来店者に〇〇を無料プレゼント




・〇〇の利用が、1ヶ月間無料




・購入後、〇〇日以内であれば全額返金







 今回はここまでです。



 皆さんが消費者側であれば、無料というトラップに引っかかって余計なお金を使わないよう注意が必要です。(それが本当に欲しいものであれば全然OKです。)



 逆に売る側であれば、無料の力を最大限に利用するべきでしょう。






 それではまたお会いしましょう。







【参考文献】

リー・コールドウェル『価格の心理学』2013年(日本実業出版社)




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