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「社会的証明の実践例」

更新日:2022年4月14日




 いつもお世話になっております。孫平です。


 今回からは、先日お伝えした影響力の6つの武器を押さえながら、私たちの日常生活に活かしていく方法を考えていきたいと思います。




 まずは、実際の事例を見ていきましょう。








テレビ通販番組の例


 これは、アメリカの放送作家の、コリーン・スショットという女性が手掛けたテレビ通販番組で、20年ぶりに売り上げ記録が更新されたものです。



 彼女は、派手なキャッチフレーズ、大げさな観客、有名人のお墨付きなど、他の通販番組とさして変わらない手法を使っていましたが、テレビショッピングではお決まりの台詞を少し変えただけで、購買者数が激増したのです。




 では彼女はいったいどんな方法をとったのでしょうか。




 それは、定番の台詞である、「オペレーターがお待ちしています。今すぐお電話下さい!」を、「オペレーターにつながらない場合は、恐れ入りますが、繰り返しお電話ください。」というものに変更したのです。




 これは一見、客に手間をかけることを伝えておりいかにも敬遠されそうですが、ここでみなさんに思い出してもらいたい影響力の武器があります。



 それは「社会的証明」です。


 

 変更したフレーズで客が感じるのは不便さよりも、電話がつながらないぐらい混み合っているということは、自分と同じようにこの商品を買おうとしている人がたくさんいるんだ、だからこの商品はきっと良い物だろうし自分の選択は間違っていないんだ、という感覚なのではないでしょうか。



 この感覚は、「今すぐお電話ください!」というお決まりのフレーズでは決して湧いてこないものですよね。


 まさに社会的証明の力です。









ホテルのタオル再利用促進の例


 これは、ロバート・B・チャルディーニ、ノア・J・ゴールドスタインらの研究チームが行った実験で、ホテルの宿泊客にタオルの再利用促すために、どのようなフレーズが説得力が高いかを調べたものです。




 タオル再利用促進のための2種類のカード、一つは多くのホテルでも使われている環境保護に貢献しますよというメッセージが書かれたカード、もう一つは多くの宿泊客はタオルを再利用していますよという事実が書かれたカードを用意し、各客室にランダムに設置しました。



 結果はどうなったかというと、多くの宿泊客がタオルを再利用している、という事実を知らされた宿泊客の方は、環境保護メッセージを見せられた宿泊客よりも、26%もタオル再利用率が高かったのです。



 これはつまり、他のみんなもやっているという社会的証明による訴求が効果を発揮したということです。









実生活に活かす


 上の2つの例だけでも多くのヒントが得られそうですが、私たちがこの社会的証明のパワーを実生活で活かすときには、「人はみんながやっていることに流されやすい(脳が楽をするために直感的に良いもの、安全なものと判断しやすい)」というポイントを押さえておくべきでしょう。




 人気が高い、支持されているといったことを示すデータや、例の通販番組での電話に関する台詞のように、多くの人から求められていることを暗に示す表現に工夫することは重要でしょう。




 また自分たちが扱っている商品やサービスを見込み客にPRしたいときは、ユーザーからの良い感想を伝えるのも効果的です。


 もっと言えば、その見込み客と近しい属性をもった人物や、知人友人などからの感想であれば、「好意」の心理作用も働いて、より説得力が増します






 まずはみなさんの実生活の中で、誰かに何かを訴求したいことがあったら、社会的証明は使えないか?という視点を持つように心がけてみて下さい。



 もしそれでうまくいったことがあれば、是非みんなで共有していけたら嬉しいです。









【参考文献】

N・J・ゴールドスタイン、S・マーティン、R・B・チャルディーニ『影響力の武器実践編 第ニ版』2019年(誠信書房)




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