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「学習の極意④−作業記憶の上手な使い方」




 いつもお世話になっております。孫平です。



 今回は学習の極意の続きで、「作業記憶」についてお話ししていきたいと思います。





 それではさっそく参りましょう。








作業記憶とは何か?


私たちの脳には、2種類の異なる記憶の領域があります。


 それが、「作業記憶」と「長期記憶」です。



 長期記憶については、学習の極意③で簡単に説明してきました。


 長期記憶は文字通り、得た情報が永続的に保持された記憶のことです。それでは、作業記憶とは一体どのようなものなのでしょうか。





 作業記憶とは、私たちが何かの作業を行った際に得た情報を、一時的に保持するスペースのようなもので、ワーキングメモリとも言われます。



 作業記憶のスペースでは、私たちが新しい作業をする度に、古い記憶から最新の記憶へ更新されていくので、同じ記憶をずっと保持しておくことはできません。


 ただし、何度も経験した記憶は、次第に長期記憶の領域へと移され、必要に応じていつでもそこから情報を引き出すことが可能になります。




 また、一般的な人が同時に保持できる作業記憶の量は、3〜4つだと言われています。ただこれにも個人差があり、一度に5つ以上の情報を保持できる人もいれば、2つで限界という人もいます。




 いずれにしても、どんな人でも作業記憶で一時的に保持できる情報の量には限界があるため、一度に大量の情報が押し寄せてくると処理できなくなります。






 そこでここからは、勉強や仕事やプライベートで大量の情報が押し寄せ頭がパンクしそうになったときに、作業記憶を上手に使いながらうまく対処していく方法をみていきましょう。







作業記憶の上手な使い方


①情報の要点をまとめてみる。

細かいことにこだわらず、得た情報を分かりやすく簡単にまとめることができないか考えてみる。




②複雑で大きな情報を、いくつかの小さな塊に切り分けて整理する。




③難しい用語を分かりやすい言葉に置き換える。

自分が理解しやすく、馴染みのある言葉に変換できないか考えてみる。




④情報の要点やキーワードを紙に書き出す。

紙に情報を保存しておくことで自分の作業記憶内に空きができるため、再び新たな情報を得ることができる。




⑤作業リストを紙に書き出す。

④と同様、紙にやるべき情報を保存しておくことで、いくつもの作業を記憶する負担を減らすことができる。




⑥ノートに情報をまとめる前には、その情報の全体像に触れておく。

書籍や資料なら、目次や太字部分をザッと見ておく。

情報の断片をあらかじめ整理しておくことで、作業記憶の負担を減らすことができる。




⑦ノートにまとめた情報は、1日の終わりに必ず自力で思い出してみる。その後で、ノートを見返してみる。

作業記憶内には同じ記憶を留めておくことはできない。情報を思い出す作業は、その情報を作業記憶から長期記憶の領域へ移行させるために非常に重要である。




⑧情報が難しすぎるときは、自分の作業記憶の能力を超えている可能性がある。

そのようなときは、他の人がまとめたノートを借りてみるのも有効な手段となる。








 もしみなさんが複雑且つ大量の情報に押し潰されそうになったときは、以上の対処法を試してみて、作業記憶の負担を減らしてみて下さい。



 これらを知っていれば、目の前の問題も着実にクリアしていくことができると思います。






 それではまたお会いしましょう。






【参考文献】

バーバラ・オークレー、オラフ・シーヴェ『LEARN LIKE A PRO 学び方の学び方』2021年(アチーブメント出版)


トレーシー・アロウェイ、ロス・アロウェイ『脳のワーキングメモリを鍛える! 情報を選ぶ・つなぐ・活用する』2013年(NHK出版)












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