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「子どもを叱るときに大切なこととは?」


 お世話になります。孫平です。



 お子さんをお持ちの方は、普段どのように子どもを叱っていますか?



 今回は、ナチスによるユダヤ人虐殺に関する社会学の研究を参考に、そのヒントを探ってみたいと思います。









ユダヤ人を助けた人と、傍観した人の違いとは?



 ヨーロッパのある町の住民を対象に行われた研究では、ナチスによるユダヤ人虐殺が行われていたときに、自分の命を危険にさらしてユダヤ人を助けた非ユダヤ人と、ただ傍観した非ユダヤ人の違いを比べました。




 そこで明らかになった2つのグループの根源的な違いは、その人たちの親が、子どもの悪い行いをどう戒めていたかという点でした。




 ユダヤ人を助けた人たちの多くが、子どもの頃に親から叱られたときに、ただ叱られただけではなく「なぜ叱られているのか」「そこから何を学んでほしいのか」という点についても説明されていたというのです。




 つまり、理由を説明することを通して、親たちは子どもに学んでほしい価値観を伝え、理性的、客観的な考え方を教えていたのです。




 またこの研究では、ユダヤ人を助けた人の場合、「親から万人に当てはまる道徳を教えられた」と答えた人の割合は、傍観した人の3倍でした。






 ユダヤ人を助けた人たちは、ユダヤ人を助けなさい!と指示・命令されたわけではなく、自らの信念や道徳心に従って行動していたはずです。




 その点からも、望ましい結果や行動(当時、ユダヤ人を助けた罪で殺された人もいることを考えると、本当にそれが最善の行動だったのかは分かりませんが)を促すには、外から与えられた規則やルールよりも、自分の内側から生じる信念や道徳心の方が、はるかに強力であることが分かります。










世の中はグレーゾーンで溢れている



 私たちは法律やルールのある世界で生きていますが、一方では、「やった方がいいけど、別にやらなくてもいいこと」とか「どっちでもいいこと」のような正解のないこと、いわゆるグレーゾーンだらけの世界でも生きているわけです。




 先ほどの「ユダヤ人を助けるか否か」というのもそうですし、私たちの身近な例でいうと「困っている人がいたら声をかけるか否か」とか「自分から挨拶するか否か」とか「晩酌のビールをここでやめておくか否か」とか、本当はやった方が良いけど別にやらなくても罪でも違反でもないことは、世の中に溢れています。





 この法律やルールの範囲外の部分でも、一般的に望ましいと考えられる行動に移せるかどうかを左右しているのが、その人の内側にある信念や道徳心です。



 そしてそれらが育つために大きな影響を与えている要因の一つが、子ども時代の親の叱り方なんだ、というのが先ほどの研究から読み取れることでしょう。










子どもを叱るときは「叱っている理由」を説明する



 私にも息子が2人おりますが、ついつい「ダメ!」とか「やめなさい!」など、ただ叱るだけで、なぜ叱っているのかという理由まで説明していないことが多々あります。




 なのでこれを機に、「叱る理由」もしっかり説明していきたいなと思います。



 特殊な世界に身を置かない限りは、万人にとって良いとされる道徳心をもっている方が確実に生きやすいと思うので。



 

 まあそのためには、「叱る理由」をちゃんと説明できるぐらいの道徳心をもった大人にならなければいけないのですが…。




 子どもは子どもとして、親も親として共に成長していかなければいけないということですね。




 それではまたお会いしましょう。






【参考文献】

アダム・グラント著、楠木 健 監訳『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』三笠書房(2016年)






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