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「女性の発情期を知りたいです。」




 いつもお世話になっております。孫平です。



 タイトルのような質問をいただきました。



 まず始めに、他の動物では当たり前に見られる発情期ですが、こと人間の女性においては発情期というものを隠すように進化してきたと言われています。(他の動物は発情期以外ではセックスをすることはありませんが、人間は年がら年中セックスできます。これも発情期を隠すことの1つです。)



 まずは、その点について基本的なところをお話していきましょう。







発情期を隠す女性


 発情期を隠せるということは、その女性とセックスをした男性達は、仮にその女性が妊娠したとしても、どの男とのいつのセックスで妊娠したのかが分からないということです。



 当然男性たちは、自分の遺伝子をもった子どもという可能性は否定できないため、その女性に資源を提供し続ける確率が高くなります。



 笑い話ではなく、現代の男性の約30%が、別の男の遺伝子をもった子どもを我が子として育てているという研究結果もあるのです。(しかもこれは、先進国を対象にしている研究です。)



 女性からしてみれば、自分の子孫に対してのサポートが、1人の男性だけしかないよりも複数の男性からあった方が、我が子の生存率は高くなるので誠に合理的な戦略だといえます。(また、発情期を隠していつでもセックスできるということは、複数の男性の精子を競争させることができるため、女性はその中を勝ち抜いた優秀な遺伝子を受精することが可能になります。)



 もし人間の女性にあかさまな発情期があったとしたら、他の動物では当たり前に行われている、オスによる他のオスの子殺しがあることでしょう。(発情期という限られた期間にメスと交尾できなかったオスによる、他のオスの子殺し。子どもを殺されたメスは、自分の子孫を残すために次の発情期に再び他のオスと交尾をする。そのチャンスを得るために、子孫を残せなかったオスは、そのメスが他のオスとの間にできた子どもを殺す。)



 人間の子どもは、他の動物よりも大人になるまでの期間が非常に長い生き物です。しかしそれは、それだけ長い時間教育を受けられることでもあり、だからこそ人間は他の動物よりも突出した知性をもち、高い生存率をほこっているのです。



 つまり、女性にとって子どもを妊娠し育てていくということは、ものすごくコストがかかることなのです。



 だから女性は、大きなコストをかけて子孫を残す代わりに、その子孫が確実に生き延びていくための戦略をとってきたのです。(複数の男性の精子を競争させて、より優秀な遺伝子をもった子どもを産む。男性達に、その子どもの本当の父親が誰なのかを悟らせないようにし、複数の男性からサポートを受け続ける。少なくとも敵にまわらせないようにしておく。)



 そのために有効だったのが、発情期を男性に悟らせないということなのです。






 ちなみにこの発情期がいつ来ているのかは、女性自身もイマイチ分からないこともあるようなのですが、発情期が近付くと女性の行動にある変化があらわれることが分かっています。



 前置きが長くなりましたが、今回はそんな研究を紹介しましょう。







発情期になるとあらわれる女性の行動


 カナダのコンコルディア大学の、ガッド・サードによる研究では、月経周期からみて妊娠しやすい時期の女性は、洋服や美容品への出費が増えることが分かりました。(それ以外の時期では、食品への出費が多い。)



 また、テキサス大学のクリスティナ・デュランテが、309名の女性(平均27.8歳)を対象に行った研究では、妊娠しやすい時期(月経周期の8日目〜14日目)にはそれ以外の時期に比べて、アクセサリーやブランド品などの高価な物にお金を使いやすくなることが分かりました。



 このような女性の行動は、妊娠しやすい時期に自分の魅力をより高め、本能的に異性(男性)を惹きつけるためだと考えられています。







まとめ


 これらの研究を参考にするなら、



・彼女や妻などのパートナーの場合は一緒に行動することが多いため、いつもより洋服や美容品、宝飾品やブランド品にお金を使っていたり、欲しがっているとき



・女友達の場合は、いつもより化粧や洋服が華やかだったり派手になっているとき



そんなときは、発情期になっている可能性が高いかもしれません。




 まあこの知識があっても、子どもをつくりたい夫婦か、ヤリモクの男の参考になるかどうかという程度のものですが…。





 逆に女性の場合は、自分の月経周期からみて妊娠しやすい時期が近付いてきたら、財布の紐が緩みやすくなる可能性があるため、意識して節約に努めることで無駄遣いを予防することができるかもしれません。



 ただし、パートナーが欲しいという女性は、多少の出費は覚悟して、魅力的に見せようとする本能に身を任せて美しくなるのもいいのではないでしょうか。




 今回はここまでです。




 それではまたお会いしましょう。





【参考文献】


Saad, G, S. Stenstrom, E., 2012 Calories, beauty, and ovulation: The effects of the menstrual cycle on food and appearance-related consumption. Journal of Consumer Psychology, 22, 102-113.



Durante, K. M., Griskevicius, V., Cantu, S. M., & Simpson, J. A. 2014 Money, status, and the ovulatory cycle. Journal of Marketing Research, 51, 27-39.





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