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「インポスター症候群を克服する方法」

更新日:2022年2月6日




 いつもお世話になっております。孫平です。



 みなさんは、「インポスター症候群」というものをご存知でしょうか?




 これは、強制的であれ自発的であれ何か新しいことにチャレンジするときに、「自分にはそれに値する能力も価値もないのではないか…」という不安に苛まれる心理的な症状です。


 「自分は偽物(impostor)であるという感覚」を持ってしまうことから、インポスター症候群と呼ばれています。




 

 どんな人でも、大なり小なりこのような不安を感じることはあると思います。




 有名な話だと、ハーバード大学卒の女優ナタリー・ポートマンの、同大学での卒業生への祝賀スピーチがあります。


 彼女はそこでこのように話しています。



 

「私がハーバードにいるなんて何かの間違いだ。私はここにいていいほど賢くない。そんな不安を常に抱えていました。何かを発言するときは、自分が馬鹿な女優ではないことを証明しなくてはいけないと思っていました。」

 



 では、私たちがこのような感覚を持ってしまったとき、どのように対処すればよいのでしょうか。



 ブランダイス・インターナショナル・ビジネススクール教授の、アンディ・モリンスキーは、インポスター症候群を克服するための方法を3つあげています。



 それではその方法を一つずつみていきましょう。








①初心者・新参者であることの強みを認識する


 よくある現象として、全くの異分野から入ってきた人がその業界や組織を変えてしまう、ということがあります。



 初心者や新参者も言ってみれば異分野から入ってきた人であり、その組織や業界の常識やルールを知らないが故に、皆が当たり前だと思っていることに疑問を呈したり、新しい方法で問題を解決を図ったりと、良い影響を及ぼすことが少なくありません。




 実際に、あらゆる分野の研究においても、その研究のための非常に良いアイディアは、学生たちからもたらされることが少なくないと言われています。



 ビジネスの世界でも製薬会社のイーライリリーは、外部のイノベーターから、同社が直面している問題への解決方法を募るクラウドソーシング・プラットフォームを構築し、大きな成果を上げています。




 皆さんが、何か新しいことをしなければいけなかったり、チャレンジしたいときには、「自分には能力が足りていない、だから役に立たないかもしれない…」などと不安になるかもしれません。



 しかし、そんな初心者や新参者だからこそ、周囲の人たちや組織に与えられる影響力があるという事実を、是非とも覚えておいて下さい。








②「成果」ではなく「学習」を重視する


 インポスター症候群に悩む人には、自分の成果を重視している人が多いと言われています。



 成果を重視すると、結果的に物事が上手くいかなかったり失敗してしまうと、それが自分の能力不足の証拠となってしまい、「やっぱり自分にはできないんだ…」と、さらに症状が増幅する可能性が高くなります。




 そのため、ここで大切になってくるのは成果を気にすることではなく、「自分はこの体験から何を学べるか」という「学習」に意識を向けることになります。



 学習に意識を向けていれば、失敗は学習のための大切なプロセスとなり、「今回は失敗してしまったけど、自分はこれでまた一歩成長できた」という成長マインドセットが身につき、「自分にはできない…」という不安は確実に減らせるでしょう。









③皆も同じように不安であることを認識する


 インポスター症候群に陥りやすい人には、「不安を感じているのは自分だけ」だと思い込んでしまい、周りが見えなくなる傾向があります。


 

 「こんな不安を感じているのは自分ぐらいで、周りのみんなはきっと自分に自信を持っているのだろう」と思ってしまえば、「だからやっぱり自分にはできない」となり、症状が増幅してしまいます。




 しかし、少し想像してみて下さい。




 例えば、社会人1年目として初めての会社に入社したとき、転職して新しい会社に入社したとき、部署異動で初めて会う人たちと仕事をすることになったとき、昇進して部下をもち責任ある立場になったとき、独立して起業したときなど。



 仕事の例ばかりになってしまいましたが、プライベートでも、新しいことにチャレンジするときのことを想像してみれば、「不安にならない人なんてほとんどいない」ということに気付いていただけたかと思います。




 非常に稀な人を除けば、私たちは皆それぞれ、不安を抱えて生きています。


 何かしら不安がある状態が普通なのです。




 だからこそ、不安を必要以上に恐れなくてもいいし、自分だけなどと思う必要もないのです。







 以上ここまで、インポスター症候群を克服するための3つの方法についてみてきました。


 

 この3つのマインドセットを身に付ければ、不安は敵ではなく、皆さん自身を良い方向へと導いてくれるエネルギーにもなりうるでしょう。



 インポスター症候群の気があるかもという方は、是非参考にしてみて下さい。




 それではまたお会いしましょう。








【参考文献】

"Everyone Suffers from Impostor SyndromeーHere's How to Handle It," HBR.org, July 7, 2016.






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