top of page

「無意識に表れる体のメッセージ」

更新日:2022年4月11日




 いつもお世話になっております。孫平です。


 仕事でもプライベートでも誰かと関わるときに、その人が自分に関心を持っているかどうかが分かったらいいのにな、と思ったことはありませんか?



 実は、それが手っ取り早く分かる方法があるのです。


 それは、私たちの体に「無意識に表れる反応」です。



 目や顔の表情、手や腕、足の動きなど、私たちの体は全身を使ってそのときに感じていることを、無意識のうちに表現しているのです。これはもう生物としての反応なので、よほど特殊な訓練でもしていない限りほぼ全ての人に共通して表れます。


 

 そのため、そこで表れた体の動きがどんな意味をもっているのかを理解していれば、相手が感じていることが分かったり、こちらが体の動きを利用して相手に良い印象を与えたり、逆に嫌な印象を与えて相手を遠ざけることも可能になるかもしれないというわけです。



 今回は、数ある体の反応の中で、「胴体に表れる反応」についてみていきたいと思います。


 それでは参りましょう。







心臓を守る反応


 ご存じの通り、私たちの胴体部分には心臓をはじめ、肺や肝臓や腸など、生きるために必要不可欠な臓器がたくさん詰まっています。そのため、私たちの脳は何か危険を感じたとき、必死でこの胴体部分を守ろうとするのではないかと予想できます。



 みなさんにも経験があるかと思いますが、どこか感じの悪い人や嫌いな人が近くに立つと、その人から離れるように体をのけぞらせて胴体を傾けるでしょう。

 この胴体を傾ける動作は、非常にアンバランスでエネルギーを使うため、通常の人間にとっては不自然な恰好になります。

 それでも嫌悪感のあるときに表れるこの動きは、ほとんど無意識のうちに表れます。つまり、私たちの脳の反応が体の反応として表れるため、正直な感情の表れだと言えるのです。



 胴体の前面は、人間の体の中で最も攻撃に弱い部分なので、自分を傷つけたり困らせたりするものからなんとかそこを守るために、私たちの大脳辺縁系は「胴体の前面をそむける」よう体に命じるのです。


 ちなみにこのような胴体の反応は、人だけでなく写真や絵のような不快なイメージのものを目にしても表れることが分かっています。








胴体を盾で守る


 嫌いな人やものから遠ざかるのが無理な状況のとき、私たちは無意識のうちに腕や持ち物を使って、胴体をガードする仕草をすることがあります。


 

 代表的なのが「腕組み」でしょう。手で両方の腕をギュッと握っている場合は、不快感が強いことの表れだと言われています。


 男性に特徴的な動きとしては、シャツの袖をなおす仕草を胸の前で行ったり、ネクタイをなおす仕草がいつもより長いときなどは、何かストレスを感じているサインになります。


 女性の場合は、室内であればクッションなど、屋外であればバッグなどをお腹や胸の前にかかえることがあります。そうした行動は、特に不安や緊張、警戒心などを感じたときに表れます。







胴体の前面を向ける


 私たちは、嫌いな人やものに対しては体の前面をそむける、つまり文字通り「背を向ける」わけですが、反対に好意や信頼を感じている人やものに対しては、胴体の前面を真っ直ぐ相手に向けます。


 試しに、我が子やペットが自分に向かってかけ寄ってくるところを想像してみて下さい。おそらく、腕を大きく広げて胴体の正面で相手を迎え入れるのではないでしょうか。


 自分が好きで、信頼している人やものに対しては、最大の弱点である胴体の正面部分をさらけ出しても問題はない、と脳が判断しているわけです。








その他の胴体の動き


 椅子やソファに腰かけて商談や打ち合わせをする場面があるかと思います。そのときに、後ろにのけぞって体を大きく広げる姿勢をとる人がいます。


 自分の家や、ごく親しい間柄ならリラックスしていると考えられますが、こと仕事の場面でそのような態度をとる人の心理としては、縄張りを主張していると考えられています。

 つまり、「自分の方が立場が上だぞ!」「自分の方が偉いんだぞ!」ということを暗に示しているわけです。やられた側からすると、そういう心理はバレバレですが…。





 肩の動き方で、その人が本当のことを言っているのか、はたまた嘘をついているのかもある程度分かります。

 例えば、「○○について何か知っている?」と相手に質問したとしましょう。そのときに、両肩が均等に上がって「知らないよ」となれば、相手は真実を言っています。しかし、片方の肩だけ上がって「知らないよ」となれば、何か隠している可能性が考えられます。


 なぜそのように判断できるかというと、肩を上げるという動作は重力に逆らう動きで、両肩が上がる動作は、それだけ自信をもって(重力に逆らって)動かさないといけないからです。何か後ろめたい気持ちがあると、肩を上げるという重力に逆らう動作が中途半端になってしまうのです。





 肩が上がって首がすぼまる「カメの首」状態の人は、その見た目からも分かるように、不安や自信の無さを表しています。

 「カメの首」状態は、周りの人に「自信の無い弱い人間だ」という印象を与えてしまうため、チャンスが巡ってこないと嘆くのであれば、まずは自信が無くても「カメの首」はしないように意識しましょう。

 また「カメの首」の人を見かけたときは、何がその人を不安にさせているのか聴いて寄り添うこともできますし、温かい励ましの言葉をかけてあげることもできるでしょう。








まとめ


 ここまで、私たちの胴体に表れる動きが、どんなことを意味しているのかをみてきました。



 ざっくりまとめると、



・胴体がのけぞっていたり横を向いていると、相手に対する好感度は低い


・胴体が正面を向いていると、好感度は高いと考えられる



ということになります。




 まずは、仕事でもプライベートでも、相手の胴体の向きに注目してみて下さい。(今まで親友だと思ってた人の胴体がそっぽを向いていても責任はとれません。あくまでも参考程度に…)


 仕事など打算的な考えが必要な場面では、本当は苦手な取引先の相手でも、相手への好意を表す「胴体の正面を向ける」という動作を取り入れて接してみて下さい。その結果、関係が良好なものになるかどうかは分かりませんが、一つだけ言えるのは、あなたの胴体がそっぽを向いていても事態は好転しないということです。ぜひ、胴体の動きを効果的に利用していきましょう。







【参考文献】

ジョー・ナヴァロ、マーヴィン・カーリンズ『FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学』2012年(河出書房新社)




bottom of page