お世話になっております。孫平です。私たちが住む、新潟県糸魚川市の市議会議員選挙の準備が、着々と進められているようです。
それにちなんで今回は、立候補者の見た目が選挙の当落を左右している、というお話をしたいと思います。
0.1秒見ただけで当落予想の正答率は72%!
これは、プリンストン大学のアレクサンダー・トドロフとその研究チームの実験によって明らかになりました。
実験内容を簡単に説明すると、
被験者はモニター前に座り、2人の人物の写真が同時に映った画面を次々に見せられる。
そして2人1組の各写真について、どちらの人物の方が有能か?という質問に答える。
というものでした。
実は写真の人物はすべて、民主党と共和党の国会議員候補者だったのです。
そして結果は、有能だと評価された候補者のうちなんと72%が当選したのです。
そして驚くべきことに被験者たちは、ほんの一瞬顔写真を見ただけで当選する候補者を予知できたのです。
また、彼らがおこなったスイスの子どもを対象にした別の実験でも、同様の結果が得られました。
5歳から13歳までの子どもたちに、船旅のゲームをさせた。
ゲームの終わりに、2人1組の顔写真をいくつか見せた。
そして、自分がこの船に乗っていたとしたら船長にふさわしいのはどちらの人物か?という質問をした。
この実験での顔写真の人物たちは、フランスの国会議員選挙の立候補者でした。
そしてまたまた驚くことに、子どもたちが船長に選んだ人物は71%の確率で国会議員選挙に当選したのです。
これは、大人を対象にした同じような実験の当選予想正解率とほぼ同じです。
これにより、大人だけでなく子どもも知覚的な手がかりを利用していること、そしてその能力はかなり早い時期から発達することが分りました。
ちなみに重要な点として、「有能に見える顔」と「実際の有能さ」を裏付けるデータは今のところないようです。
見た目の力は絶大なり!
どうやら私たちは、リーダーシップや知性のある顔、頼もしさや美しさ、精神的安定が表れた顔を、有能だと感じるようです。しかも一瞬で。
しかしなぜ、ある顔は有能そうに見えて、またある顔はそう見えないのかということや、人間のそうした知覚能力がどのように発達したのかについては、ほとんど解明されていないようです。
選挙ということでいえば、最初から支持する政党や候補者が決まっている有権者や、候補者が掲げる政策について比較検討している有権者は、候補者の見た目には影響されないようなのです。
つまり候補者の見た目に影響を受けるのは、政治をよく知らない、または関心のない「無知な有権者」たちだということです。(おそらく私もその一人です…)
そして(私も含め)彼らがいざ投票するときに頼りにするのが、なんとなく有能そうか?という候補者の見た目なのです。
この世の中で、政治についてしっかり勉強している一般人はどれぐらいいるのでしょうか。
正確なところは分かりませんが、おそらく「無知な有権者」の方が多いような気がします。
先ほどのプリンストン大学の実験結果も、それを物語っています。なぜなら、有能に見えることと実際に有能なのは全く別のことなのにも関わらず、「有能に見える候補者」の当選確率が有意に高いからです。
この意見に肯定的な選挙候補者がいるなら、自分の見た目を有能そうに見せることができれば、「無知な有権者」からの獲得票が増える、つまり当選確率が上がるということを理解いただけるかと思います。
選挙では、実際に有能かどうかということよりも、「有能そうな見た目をしているかどうか」が勝利のカギになるのです。
一般人でも知らなきゃ損
実際の能力に関わらず、見た目から有能か否かを瞬時に判断する力がどんな人間にもあるのなら、「この人は有能そうだ!」と相手に思われた方が絶対に得ですよね。
仕事でも、お客様や取引先の関係者と初めて会う時は、会った瞬間からすでにあなたの能力は判断されているのです。
そして悲しいことに、最初に先方からもたれたイメージはなかなか消えないものです。
だからこそ初対面のときは、有能そうに見せるために最大限の努力をするべきだと思います。
第一印象で好感をもたれれば、その後の仕事がスムーズに進められるのは想像に難くありません。
もちろん自分の元々の顔のつくりとか身長とかは、遺伝的なものなのでどうすることもできません。
それでも、髪をセットする、肌を綺麗に保つ、整容をする、筋トレやダイエットをして程よい体型を保つ、清潔感のある服装や年齢に相応しい服装をする、姿勢に気をつける、その場に相応しい声量や声のトーンで話す、笑顔で接する、
など、意識すれば簡単に改善できることはいくらでもあります。
私は、寝不足にならないようにしっかり寝る、ということに気をつけています。
というのも、どれだけ身なりを整えても寝不足の人の魅力度は激減するということが分かっているからです。
外見をどれだけ装っても、内面から滲み出てくる疲れは隠し通せないのでしょう。
今回の選挙候補者の実験は、どちらかというと元々の顔のつくりに影響される感じでしたので、それだと見た目があまり良くない人たちは救われないことになってしまいます。
もちろんそんなことはなく、誰でも良い印象を与えられる工夫についても、今度紹介できたらと思います。
今回はここまでです。それではまたお会いしましょう。
【参考文献】
マシュー・ハーテンステイン『卒アル写真で将来はわかる 予知の心理学』2014年(文藝春秋)
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