いつも大変お世話になっております。孫平です。
みなさんは自分のことを、老け顔だと思っているでしょうか、それとも童顔だと思っているでしょうか。
どちらともいえないという人が多いとは思いますが、老け顔・童顔の人は自分の顔にかなりのコンプレックスを持っているかと思います。(私は童顔なのがずっとコンプレックスです。)
そこで今回は、老け顔や童顔であることが、社会的成功に影響を与えているのかどうかを調べた研究をご紹介したいと思います。
それではさっそく参りましょう。
老け顔の人ほど成功しやすい⁉︎
まずは、老け顔に関する研究から。
米国タフツ大学の、ニコラス・ルールによる研究です。
2006年のフォーチュン500社の、上位25社と下位25社のCEOの顔写真を用意した。
その顔写真を、100名の大学生に見せて印象を尋ねた。
その結果、学生たちから「老け顔」だと評価されたCEOが率いていた企業ほど、2005年における業績が優れていた。
という結果が出たのです。
この研究だけでは、老け顔CEOと企業の業績の正確な因果関係は分かりませんが、老け顔は良い見方をすれば、「人として成熟している」「威厳がある」「信頼感がる」と思われやすい、とも言えます。
そのような印象が、仕事にプラスの影響を与えているのかもしれませんし、その可能性は十分あり得ると思われます。
それでは、童顔の人はどうなのでしょうか。
童顔だって成功しやすい⁉︎
次は、童顔についての研究です。
米国ノースウエスタン大学経営大学院の、ロバート・リビングストンによる研究です。
フォーチュン500社のCEOの顔写真を用意し、男性10名女性11名に印象を評価してもらった。
その結果、黒人のCEOの場合は、「童顔」と評価されるほどその企業の業績が優れていることが分かった。
なぜ、黒人CEOにだけそのような傾向が見られるのか、その因果関係はやはり分かりません。
しかし、「老け顔」の人が、威厳や信頼感といった印象を与えるのに対して、「童顔」の人は、「愛嬌」や「親しみやすさ」や「優しさ」といった印象を与えやすく、それが仕事にプラスの影響を与えているのかもしれません。
ちなみに研究者のリビングストンは、このような現象を「テディ・ベア効果」と名付けています。
結局のところ、どっちなの?
結論から言うと、これまでの心理学界の研究では、どっちが良くてどっちが悪いという答えはまだ出ていない、ということになります。
あらゆる物事には裏と表があるように、「老け顔」にも「童顔」にも、良い面もあれば悪い面もあるのでしょう。
周囲の人たちが、「老け顔」と「童顔」の良い面に意識が向けばプラスの影響がはたらき、悪い面に意識が向けばマイナスの影響がはたらくのかもしれません。
そういう意味ではどちらかで悩んでいる人は、仕事でもプライベートでも、「老け顔」の人が評価されやすい環境、「童顔」の人が評価されやすい環境に意識して身を置くようにしてみるといいかもしれません。
また、どちらであっても必ず良い面があるのですから、その良い面に自分の意識を向けるというのが、自分らしく無理せず生きていく上では非常に重要だと思います。
「老け顔」の人であれば、「自分はこの顔のおかげで、普通の人より信頼されやすい」と考える。
「童顔」の人であれば、「自分はこの顔のおかげで、普通の人より親しまれやすい」と考える。
そのように、自分の見た目に対する視点を少し変えるだけで、今まで足を引っ張られていたと思っていたものが、自分を助けてくれる強力な武器に変貌するはずです。
科学的な内容を書いているブログなのにこんなことを言うのもなんですが、要は自分の考え方次第なのでしょう。
というわけで今回はここまでです。
それではまたお会いしましょう。
【参考文献】
Rule,N.O.,& Ambady,N. 2008 The face of success. Inferences from chief executive officers’ appearance predict company profit. Psychological Science , 19, 109-111.
Livingston,R.W.,& Pearce,N.A. 2009 The Teddy-Bear effect. Does having a baby face benefit black chief executive officers? Psychologist, 19, 343-363.
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