いつもお世話になっております。孫平です。
今回は私たちにとって欠かすことのできない「睡眠」についてお話ししたいと思います。
みなさんは日頃から、十分に睡眠がとれているでしょうか。日中に眠くて仕事のパフォーマンスが上がらないとか、睡眠不足で体調がイマイチ優れないといったことはないでしょうか。
実は、睡眠不足が体に深刻なダメージを与えることが、様々な研究で明らかになっています。
今回は、そんな睡眠不足がもたらす代表的な弊害と、より良い睡眠のために私たちができることについて考えていきたいと思います。
健やかな眠りのための12のアドバイス
まずは時間がないという人のために、一番お伝えしたい内容を先に述べておきたいと思います。
カリフォルニア大学バークレー校教授で睡眠科学者のマシュー・ウォーカー先生が、「健やかな眠りのための12のアドバイス」というものを提唱しています。
①いつも同じ時間に寝て、同じ時間に起きる
②夜寝る前に運動しない
③カフェインとニコチンを摂取しない
④寝る前にアルコールを摂取しない
⑤夜の遅い時間に大量の飲食をしない
⑥可能なら、睡眠を妨げるような薬を飲まない
⑦午後3時を過ぎたら昼寝をしない
⑧寝る前にリラックスする
⑨寝る前にお風呂につかる
⑩寝室を暗くする、寝室を涼しくする、寝室にデジタル機器を持ち込まない
⑪日中に太陽の光を浴びる
⑫眠れないままずっと布団の中にいない
マシュー・ウォーカーは、この中でも特に守ってほしいのが、「①いつも同じ時間に寝て、同じ時間に起きる」ことだと言っています。
睡眠不足がもたらす恐ろしい弊害
20以上の大規模な疫学研究で、数百万人を数十年にわたって追跡した膨大なデータを分析したところ、すべての研究で「睡眠時間が少ないほど寿命も短くなる」ことが明らかになったそうです。
具体的な研究結果をまとめると、以下のようになります。
・睡眠時間が短くなるほど、調査開始後7年〜25年の間に、「冠状動脈性心疾患を発症する、またはこれが原因で死亡する」リスクが45%上昇する。(8カ国50万人以上の男女を対象にした追跡調査)
・過去14年間で睡眠時間が6時間以下だった人は、6時間以上寝ている人に比べ、1回以上の心停止を経験するリスクが400〜500%上昇する。(4,000人の男性労働者を対象にした日本の調査)
・慢性的に睡眠時間が6時間以下の人は、6時間以上寝ている人に比べ、II型糖尿病の発症率がはるかに高い。(世界各国での疫学研究)
・睡眠時間が短いほど風邪に感染する確率が高くなる。睡眠時間5時間未満のグループの感染率は50%、7時間以上のグループは18%だった。(カリフォルニア大学サンフランシスコ校、アリク・プラザー博士による実験)
・睡眠が6時間以下の人は、7時間以上寝ている人に比べて、ガンの発症率が40%上昇する。(ヨーロッパで2万5000人を対象にした研究)
睡眠不足はその他にも、生殖機能や遺伝子に悪影響を及ぼしたり、アルツハイマー病やうつ病の発症、いじめ・自殺・ドラッグ依存、交通事故の発生と関係があることが分かっています。
これらについては、また別の機会に詳しくみていきたいと思います。
みんなで、しっかり眠れる方法を考えよう
このように、睡眠不足には様々な弊害があることがお分かりいただけたかと思います。
ほんの少し睡眠時間が短いだけで、私たちの肉体や精神がどんどん蝕まれていくなんて、本当に驚きです。先程の結果をみていくと、毎日7〜8時間は何がなんでも寝る!ことが必要な感じですね。
冒頭のマシュー・ウォーカーの「健やかな眠りのための12のアドバイス」を参考にすることで、私たちがとるべき具体的な方法を知ることができました。
その中のいくつかは、少し意識すればすぐに実践できそうなことなので、是非今日から試してみることをお勧めします。
知っていることと、実践していることは全くの別です。大切なのは、それらの方法を確実に実践する方法を考え、絶えず試していくことです。
私個人としては、「①いつも同じ時間に寝て、同じ時間に起きる」が習慣化できれば、かなり大きな変化が期待できるのではないかと感じました。
平日は仕事のため起床時間は決まっています。そのため、就寝時間をムラなく決まった時間で守れるか否かが、トータルの睡眠時間に大きな影響を与えます。(読書が盛り上がってしまったり、布団に入ってスマホをいじっていたら、あっという間に1〜2時間経っていたなんてことがよくあるからです。)
しかしそこで、「23時までには絶対寝る!」とか気合いでどうにかしようとしても、誘惑の多い現代の生活では途中で挫折するのがオチでしょう。
対策としては、意志の力だけに頼るのではなく、眠りに入りやすい環境を整えたり、仕組みを構築して、「自然と23時には眠くなる」状態にもっていければいいのではないかと思います。
長年の習慣を変える必要がある項目については、「if thenルール」(〇〇の状況になったら、△△する)のような思考法を使うことで、気合いでなんとかしようとするよりも改善できる可能性が高くなります。
ここでもポイントはやはり、できるだけ意志の力に頼らないように工夫するということになるでしょう。
以上を踏まえて、ここから先は会員のみなさんとの共同作業になってきます。
みなさんが、健やかな眠りために現在実践していることや、この記事を読んで実践してみた効果、また、こういう方法もいいんじゃないかという提案を、コメント欄にどんどん書いていってもらえたらと思います。
知識は使って初めて意味があります。日々の生活を営んでいる多種多様な会員のみなさんの声によって、研究室では発見できないような、より使いやすく効果の高い「使える知識」が生まれることと思います。
是非みなさんで一緒に、豊かな人生を送る方法を考え、実践していきましょう。
【参考文献】
マシュー・ウォーカー『睡眠こそ最強の解決策である』(2018年)SBクリエイティブ
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