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「時間で変わる広告効果」

更新日:2022年4月11日




 いつもお世話になっております。孫平です。


 

 ひと昔前の広告と言えば、折り込みチラシや新聞や雑誌の広告欄、またはTVコマーシャルが主流でした。


 しかし、一人一台スマホを持つのが当たり前になった現在では、企業はスマホ上のありとあるゆるところに広告を出すようになりました。


 現代人の新聞離れやテレビ離れの影響で、そこに広告を出してもコストに見合った成果が望めなくなってきたことと、スマホユーザーに向けて広告を出す方がメリットが大きいことが、この現象を推し進めています。



 

 一人一台スマホを利用することにより、企業側は広告をオンライン上に出せば、そこから膨大なデータを得ることが可能になりました。


 これは、ひと昔前の広告では困難なことです。どんな人が、いつ、どんな内容を、どれぐらい見て、どんな行動を起こしたか、といった情報を個人レベルで測定することは、スマホの普及によって可能となったのです。


 そこで得られたデータを分析することで、自社商品をより効果的にマーケティングできるようになったのです。


(なんとなくスマホをいじってたら、自分の興味の湧く商品の広告が出てきたとか、皆さんも経験があるはずです。皆さんが過去に、どんなサイトのどんな商品を見てきたかを分析された結果でしょう。)




 

 しかし現代では、企業だけではなく個人でもスマホを使ってマーケティングが可能です。


 SNSの普及が個人の発信力を高めたわけですが、SNSマーケティングという手法は今や常識となっています。





 今回は、どの時間帯にオンライン上で広告を出せばより効果的なのか、また、曜日によって効果に違いがあるのか、といったことをお話ししていきます。



 個人でのSNSマーケティングにも使えますし、何かを売るためでなくても、自分の考えを多くの人に広めたいというときにも使えるはずです。



 前置きが長くなりました、それでは参りましょう。








時間で変わる広告効果


 同じ広告内容でも、それを出す時間帯によって効果は変わるのでしょうか。



 それを確かめるために、アメリカと中国の研究者チームが行った実験を紹介しましょう。



 

 ひとつのグループは、実用的な(慎重に情報を検討して購入する)商品の広告をスマホに受信した。


 もうひとつのグループは、情緒的な(あまり深く検討せずに購入する)商品の広告をスマホに受信した。


 各グループが広告を受信するのは1日のうちの一つの時間帯で、研究チーム側はそれを各時間帯ごとに分けて広告を送った。(例えば、午前8時にだけ広告を受信する両グループの人たちもいれば、午後7時にだけ受信する両グループの人たちもいる。)




 結果は、



 実用的な商品の広告に対するレスポンス率は、午前中がもっとも高く、昼に緩やかになり、午後になるとまた上昇し、夜間は低くなった。


 特に、午前10時と正午に広告を配信すると、購買の可能性が著しく増加した。

 逆に、もっともレスポンス率が低かった時間帯は、午後7時から午後8時だった。





 一方、情緒的な商品の広告に対するレスポンス率は、午前中は低く、昼と午後に高くなり、夜は穏やかだった。


 特に、正午から午後2時のレスポンス率は、ほかの変数を一定にした状態で、購買の可能性を平均7.1倍も押し上げた。

 逆に、もっともレスポンス率が低かった時間帯は、午前8時から午前9時だった。





 このような明確な違いについて研究者チームは、消費者は午前中は事務的な思考で過ごしており、午後になるにつれてリラックスしてくるからだと説明している。

 


 この結果から、商品のタイプによって広告を出す時間帯を調整することで、より購買の可能性を高めることができると考えられます。




 この研究者チームは、再び同様の実験を行いました。

 しかし今度は、「同じ商品」を実用的な広告と情緒的な広告で配信したのです。





 

 実用的なフレーミングの広告は、午前10時から正午までに配信すると、もっともレスポンス率が低かった午後7時から午後8時に比べて、購買の可能性が約5倍も高まった。


 情緒的なフレーミングの広告は、午後1時から午後3時までに配信すると、もっともレスポンス率が低かった午前8時から午前9時に比べて、購買の可能性が2.4倍高くなった。




 情緒的な広告は、実用的な広告よりも、購買可能性の上昇率が少ないが、情緒的な広告の方がもともとの購買可能性が高い。


 商品の広告を実用的にフレーミングすると、同じ商品を情緒的なフレーミングで宣伝したときと比べて、購買の可能性が最大80%も減少することも分かったのである。


 


 この結果からは、商品広告の基本的なベースは情緒的なフレーミングにし、その中でも午前中は実用的なメッセージを、午後からは遊び心のあるメッセージで宣伝した方が良い、ということが言えそうです。








曜日でも変わる広告効果


 オーストラリアのモナシュ大学のマーケティング教授ピーター・ダナハーらの調査では、月曜日と木曜日はクーポンの利用率が著しく高いことが明らかになっています。


 この現象についてダナハーらは、平日のショッピングモールの客の多くは、フルタイム労働者でない可能性が高いからだと説明しています。

 つまり、収入が少ないため、少しでもお金を節約したいと考える人が多い結果、クーポンの利用率が高くなるというわけです。



 


 

 ニューヨーク大学スターン・スクール・オブ・ビジネスの、ハインツ・リール ビジネス学教授のアニンディヤ・ゴーシュらの調査でも、曜日の違いによる影響が明らかになっています。



 

 平日に購買行動をする人は、買うものが決まっていることが多い。

 このような人は、買いたいものに関係のある広告には敏感に反応するが、そうではない広告は無視したり反発心を抱くことさえある。



 週末に購買行動をする人は、目的が明確ではなく商品をただ見て回る傾向がある。

 このような人の場合は、その場のなりゆきで広告を受け入れる可能性が大幅に高くなる。

 つまり、セール品などに流されやすく、衝動買いをする可能性も高い。


 



 平日に広告を配信する際は、平日のお客が興味のありそうな商品をできるだけ正確に予測する必要がありそうです。

 過去のデータを分析したり、経験則も活かして、平日に売上が高い商品を割り出しましょう。


 また、平日限定のクーポンや、タイムセール情報をうまく活用していくと効果的でしょう。





 週末に広告を配信する際にも、クーポンやタイムセール情報が有効でしょう。

 しかし平日の広告と違うのは、必ずしもお客が望んでいる商品でなくてもいいということです。(広告に流されて、衝動買いするお客が多い可能性があるため。)

 

 そのため、売る側が売りたい商品の広告を出せば、それを買ってもらえる可能性が高くなるのです。(例えば、売れ残りの不動在庫とか、早めに捌きたい型落ち品とか、賞味期限切れ間近の商品とか)






 このようにして、時間帯に加えて曜日による違いも考えて適切に広告を配信すれば、お客の購買可能性をより高めることができるでしょう。


 最初は多少頭を使うので大変かもしれませんが、一度そういう流れが掴めれば、労少なく成果を上げることができるはずです。





 商品を売るわけではないけど、自分の考えを発信して、より多くの人に影響を与えたいという人の場合は、広告するものが「商品」から「情報」に変わっただけなので、基本的な考え方は同じです。


 発信する時間帯に応じて、内容を「実用的で少し堅めなもの」にしたり「遊び心をもたせた情緒的なもの」にしてみて下さい。


 曜日の影響も考慮するなら、平日はすでに自分の考えに共感してくれているファンに向けた内容を、週末は不特定多数の人に向けて自分の考えを発信してみると良いかもしれません。





 本日はここまでです。




 それでは、また次回お会いしましょう。






【参考文献】

アニンディヤ・ゴーシュ『Tap スマホで買ってしまう9つの理由』2018年(日経BP社)







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