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「悩みは人に話すと気持ちが楽になる、はウソ⁉︎」

更新日:2022年4月13日




 いつもお世話になっております。孫平です。

 


 私たちは日々、嬉しい出来事もあれば、つらく悲しくイライラする出来事もたくさん経験しながら生きています。そうした悩みから解放されたい、できるだけ引きずりたくないと思うのは誰もが同じでしょう。

 


 みなさんも、友人や家族に悩みを話したら気持ちがスッキリした、楽になったという経験はあるのではないでしょうか?



 実際、1999年のある調査によると、90%の人が「不幸な体験を他の人に話すと気持ちが楽になると思う」と答えたそうです。



 今回は、果たして「人に悩みを話す」というのは本当に効果のあることなのか?といったあたりをみていきたいと思います。








悩みを人に話すことの効果は?


 この問題について、ルーヴァン大学(ベルギー)の心理学者エマニュエル・ゼックとベルナール・リメが2005年に行った実験をご紹介しましょう。


 実験内容は簡単に説明すると以下のようなものでした。


 

被験者を2つのグループに分け、一方には「精神的に苦痛だったこと」を、もう一方には「ごく普通な1日の出来事」について話してもらった。

 

その後しばらくして、幸福感についてのアンケートに答えてもらった。


結果は、どちらのグループも幸福感の度合に大差がなかった。

 


 個人差はあると思いますし、カウンセラーなどの専門家に話した場合はまた違った結果になる可能性も十分考えられますが、人に悩みを話しても、私たちが思っているほどの効果は得られないようです。




 それでは何か悩みを抱えたとき、私たちはどうすればいいのでしょうか。

 








自分の気持ちを紙に書く


 解決策の一つに、「打ち明け日記を書く」という方法があります。



 これは、悩みに対しての自分の考えや気持ちを簡単に書き出すという作業なのですが、複数の実験結果から、その作業を行った人は自信や幸福感が増し、健康状態も改善することが分かっています。



 ただ紙に自分の気持ちを書き出すだけでこれだけの効果があるのなら、使わない手はないでしょう。




 それでも、この「打ち明け日記」を書く際のポイントが3つありますので、次はそのあたりを押さえていきましょう。





①感謝を書く

 心理学者のロバート・エモンズとマイケル・マカラックが行った実験では、日記に「感謝すること」「嫌なこと」「日常の出来事」を書くグループに分け効果を比較しました。


 結果は、「感謝すること」を書いたグループは他の2つのグループよりも有意に幸福感が強くなり、将来に対しても楽観的になり、さらには健康状態も良くなった、そうです。


 ちなみに、感謝する内容は何でもよいようです。例えば、誰かに親切にしてもらったとか、体調良く過ごせているとか、綺麗な景色を見たとか、そんな感じのもので全然OKです。





②理想的な未来を書く

 サザン・メソジスト大学のローラ・キングが2001年に行った実験では、「理想的な未来を想像(あくまで現実から飛躍しない範囲で)」「最悪な体験を想像」「翌日の計画」を書くグループに分け効果を比較しました。


 結果はやはり、「理想的な未来を想像」して書き出したグループは他の2つのグループよりも、有意に幸福感が高かったそうです。


 理想的な未来というと漠然としてますが、例えば、仕事で今取り組んでいるプロジェクトが大成功したとか、子どもが志望校に受かったとか、パートナーと結婚したとか、そんな自分にとっての幸せな未来を想像する感じです。





③愛情を書く

 アリゾナ州立大学のコーリー・フロイドらが行った実験では、「自分が愛している相手について考え、なぜその相手が自分にとって大切なのか」を書くグループと、「前の週に起きたことがら」を書くグループに分け効果を比較しました。


 結果は、前者の愛情をあらわす文章を書いたグループの方が、幸福感が大幅に増加し、ストレスが減り、コレステロール値も下がった、そうです。


 愛している相手は、パートナーや子どもや親、ペットなんかでもいいかと思います。








なぜ、気持ちを紙に書き出すと良いのか?


 ここまで見てきたように、自分の気持ちを紙に書き出すという作業には、非常に大きな効果が期待できそうです。



 しかし、なぜ人に話してもあまり効果がないのに、紙に書き出すとこれほどまでに精神面と身体面の効果が上がるのでしょうか。




 おそらく人と話すと、話の内容が大きくなってしまったり、脱線してしまったりと、当初はなかったいろんな情報が入り込んできて、話が混乱してしまう可能性が大きいのではないかと思います。


 しかし、文章にするという作業では、ある程度論理立てて、筋道を考えながら言葉を紡いでいく必要があります。そのため、より意味をもたせやすく、結果として悩みの解決に繋がりやすいと考えられます。





 これは決して、人と話すことは無意味だということではありません。人とコミュニケーションをとることのメリットはたくさんあります。また、悩みを人に話すことで、その人が強力な味方になって助けてくれることもあるでしょう。


 一方紙に書き出す作業は、自分の内側からあらわれる効果が大きいものになります。


 つまり、悩みを克服するとか、立ち直るとか、自分の精神面の改善に焦点を当てた場合は、「人に話す」よりも「紙に書き出す」方が効果が大きいということです。




今までのように人と話してスッキリして、自宅で一人で過ごす時間には気持ちを紙に書き出すという作業を付け加えれば、まさに鬼に金棒でしょう。



 今後、何か悩みを抱えた際は「人に話す」ことと「紙に気持ちを書き出す」ことの二刀流を意識してみて下さい。






【参考文献】

リチャード・ワイズマン『その科学が成功を決める』2012年(文藝春秋)






 

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