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「相手から協力を引き出す、一貫性の実践例」

更新日:2022年4月16日




 いつもお世話になっております。孫平です。

 


 影響力の武器を使うシリーズの今回は、相手から協力を引き出す簡単な方法についてみていきたいと思います。


 



 それでは参りましょう。








有権者を投票所に向かわせたある方法


 わずか537票差で勝敗が分かれた2000年のアメリカ大統領選挙のように、有権者の票がほんの少しどちらかの陣営に傾いただけで、結果が大きく左右される可能性があるのが選挙です。



 各陣営が、自分たちの政党の支持者に、確実に投票所に行ってもらえることができれば、選挙では追い風になるのは間違いありません。



 社会科学者のアンソニー・グリーンワルドらは、有権者に投票所に向かってもらうためにある実験を行いました。




 

 一部の有権者に、自分自身が投票日に投票に行くかどうか予測してもらった。そして、なぜそう思うのか、その理由を挙げてもらった


 結果は、事前予測を求められた有権者は求められなかった有権者と比べて、25%も投票率が高くなった。(86.7%対61.5%)

 

 






レストランの無断キャンセルを激減させたある方法


 また、あるレストランの所有者は、ある方法を使ったことで、予約の無断キャンセル率を大幅に下げることに成功しました。



 

 受付係の予約を受ける際の応対を「キャンセルするときはお電話下さい。」から、「キャンセルするときはお電話をいただけますか?」とお客に尋ねるようにした


結果は、無断キャンセルの率は、30%から10%まで下がった

 


 


 最初の選挙の例と、このレストランの例で共通していることは、2つの重要な心理作用です。




 1つ目は、「選挙に行って投票する」という行為も、「キャンセルしなければいけなくなったら電話をする」という行為も、どちらも社会常識的な行為という点です。

 

 そのような常識的な行為に対して、「あなたはそれをしてくれますか?」と聞かれて、はっきりとNOを言える人はよほどのサイコパスでもない限りいないでしょう。

つまり、この場面ではほとんどの人がYESと言ってしまいます。




 2つ目は、最初にYESと言ったことにより、自分が公言したことは責任をもって行動に移さなければいけないという心理、つまり「一貫性」が働くからです。



 

 この2つの心理ステップを、シンプル且つ自然な質問を通して相手に踏ませ、相手が自ら行動に移すように仕向けているというわけです。









実生活に活かすには


 みなさんは普段会社に勤めている方が多いでしょうから、会社でこの武器を使うことを考えてみましょう。


 

 

 例えば、みなさんがあるプロジェクトや企画、またそこまで大げさでなくても日常業務のヘルプなどを、同僚や部下または上司に協力してもらいたいとします。


 

 そのときは、自分が協力してもらいたいプロジェクトの素晴らしさや、自分が置かれている大変な状況を説明するよりも、まずは相手に協力してくれるかどうかを尋ね、「協力する」という返事を待つのが望ましいでしょう。

 


 「とても困っていてどうか助けてほしい」とか、「このプロジェクトには〇〇さん(相手)の力が欠かせないんだ」とか、困っている人は助けるのが望ましいという社会常識と、人間がもつ承認欲求に訴えるお願いの仕方をすれば、断られる確率も下がるはずです。


 


 もし同意が得られれば、できればその後に「協力してくれる理由」を尋ね、相手に自ら説明させてください



 そうすることで相手の中の「一貫性」はさらに強力に働き、みなさんの役に立たなければという使命感すら感じ始めるでしょう。




 



 また、お客が相手で、商品やサービスを購入してほしいときは、その商品やサービスのメリットを説明するよりも、お客自身にその商品やサービスの良いと感じる点や好きな点を話してもらいましょう



 もし話してもらえたら、さらに、なぜそう思うのかを聞いてお客自身に商品やサービスについて語らせることで、一貫性をより強力なものにしていきます


 

 お客の中の一貫性が十分高まったところで、みなさんがその商品やサービスの購入を勧めたらどうなるでしょう。


 お客は、最初の段階でその商品やサービスについてのポジティブな意見を言った手前、はっきりと「買いません」「必要ありません」と言うのはかなりハードルが高い行為になるはずです。



 つまり、その商談では圧倒的にみなさんが有利になるというわけです。



 


 もし最初の段階で、みなさんの商品やサービスにネガティブな意見しかない場合は、一貫性が逆方向に働いてしまいますので、そういうお客は縁がなかったと割り切って、可能性のあるお客のために時間を使った方が良いでしょう。


 ネガティブな意見は、今後の商品やサービスの質の改善に役立てていきましょう。






 こちらが相手にしてほしいことを、自然なかたちで相手自ら話してもらい、「一貫性」を高めてあげつつ行動してもらう。そして最終的にこちらが利益を得る。




 この一貫性の心理の使い方を知っていれば、仕事でもプライベートでも大いに役立つこと間違いなしです。








【参考文献】

R・B・チャルディーニ、N・J・ゴールドスタイン、S・マーティン『影響力の武器実践編 第ニ版』2019年(誠信書房)





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