いつもお世話になっております。孫平です。
今回は、幸福になるための簡単な方法の第2弾をお届けします。その方法とはズバリ、「アズイフの法則」です。
「アズイフの法則」のアズイフとは、「〜のように」という意味でして、要するに、「幸せであるかのように振る舞えば、本当に幸せな気持ちになる」というようなものになります。
みなさんにとっての幸せが、お金持ちになるとか社会的地位や権力を手に入れるということなら、この「アズイフの法則」は当然ですが効果はありません。お金持ちのように振る舞っただけで本当にお金が入ってくるなら苦労はしません。
しかし、幸せな気持ちになるとか、やる気が湧いてくるとかであれば、この「アズイフの法則」は効果が証明されており、なにより時間もお金もかけずにめちゃくちゃ簡単にできるので、とても実用的です。
それでは、代表的な例をいくつかみていきましょう。
笑顔をつくれば幸せな気持ちになれる
私たちは普通、嬉しいことや楽しいことがあるから笑顔になります。しかし、その逆も成り立つことが明らかになっています。
ロチェスター大学のジェームズ・レアードが1960年代後半に行った実験では、
被験者たちは、笑顔を作らされたときは幸せを感じ、眉をしかめさせられたときは不愉快に感じる割合が極めて高かった。
さらに被験者たちに、なぜそのような気持ちを感じたと思うか訊ねたところ、それが自分の表情のせいだと考えた被験者はほとんどおらず、多くは自分の気持ちが変化した理由を説明できなかった、
そうです。つまり私たちは、嬉しいことや楽しいことがあるから笑顔になるだけでなく、笑顔になると嬉しく楽しい気持ちになるとも言えるようなのです。
また笑顔と関連して、声を出して笑うことも幸福度アップには効果的であることが、フェアリー・ディキンソン大学の心理学者チャールズ・シェーファーの実験から明らかになっています。
こちらも笑顔と同様に、楽しいから笑うというだけでなく、笑うとなんだか分からないけど楽しくなってくる、ということです。
気持ちだけでなく肉体にも影響する
表情の変化は、私たちの精神だけでなく、肉体にも変化をもたらしていることも明らかになっています。
カリフォルニア大学の心理学者ポール・エクマンの実験では、
①例えば恐怖を感じた出来事を、できるだけ鮮明に思い出し、追体験してもらうグループ
②ただ単に、恐怖の表情を作ってもらうグループ
に分けて、生理現象の変化を調べた。
①グループは当然ながら、心拍数が上昇し、皮膚温度は低下した。
しかし、②グループにも同様の生理現象が確認された。
そしてこれは、例えば「幸せな出来事」や「怒りの出来事」等でも、①グループと②グループには同様の生理現象が確認された、
そうです。つまり、「アズイフの法則」は、私たちの精神面だけでなく肉体面にも確実に影響を及ぼしているのです。
明るく楽しげに振る舞う
体の動きを変えることで、幸福度を上げる効果も確認されています。
アトランティック大学の心理学者サラ・スノドグラスの実験では、
①大股で、腕を振り、背筋を伸ばして歩くグループ
②小股で、のろのろと、うなだれて歩くグループ
に分けて、それぞれのグループの参加者に、歩いたあとに感じた幸福度に点数をつけてもらった。
結果は、①のグループの方が②のグループよりも、幸福度がはるかに高かった、
そうです。
また、こんな実験もあります。
ハイデルベルク大学のザビーネ・コッホの実験では、
①大きく上下に動かす硬い感じの握手をされたグループ
②なめらかに流れるような握手をされたグループ
に分けて、それぞれのグループの参加者に握手の感想を訊ねた。
結果は、①グループよりも②グループの方がはるかに幸せを感じ、握手をしてきた相手にも好意をもった、
そうです。ここからは、私たちがとっている行動が、良い印象のものであれば相手にも良い印象を与え、悪い印象のものであれば相手にも悪い印象を与えてしまうと言えそうです。
明るい話題を口にすると幸福度が上がる
アメリカの臨床心理学者エメット・ヴェルテンが1960年代後半に行った実験や、ハワイ大学のエレーン・ハトフィールドとそのチームが行った実験結果からは、
前向きで明るい言葉を口にした人の方が、ただの事実や暗い言葉を口にした人よりも、はるかに気分が良くなり幸福度が高くなる、ことが分かりました。
これは、自分の実体験に限らず、架空の話でもまるで自分が本当に体験したかのように話をするだけでも効果があるようです。
まだまだある「アズイフの法則」の効果
その他にも、ダンス(特に楽しくリズミカルなダンス)をしたり、歌をうたうことで、私たちの幸福度が高まることが分かっています。(ちなみに、歌を聞くだけでは幸福度はアップしない。)
「アズイフの法則」が示しているのは、つまりこういうことです。
幸せを感じたり元気になりたければ、幸せなことを頭の中で考えるよりも、幸せであるかのように振る舞えばいい。
そしてその方法は、とても簡単で手っ取り早く、効果も高い。
だから私たちは、笑顔をつくり、足どり軽く動き、明るく楽しい言葉を口にし、踊り、笑い、歌い…、とにかくなんでも楽しいことをすれば、誰でも簡単に幸せになれるのです。
【参考文献】
リチャード・ワイズマン『その科学があなたを変える』2013年(文藝春秋)
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