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「好奇心旺盛な子と、そうでない子の違い」

更新日:2022年4月11日




 いつもお世話になっております。孫平です。


 今回は、好奇心が旺盛な子と、そうでない子の違いがどこから生まれるのか、という点についてみていきたいと思います。



 

 その前に、皆さんにはお子さんはいますか?幼い子どもの育児の真っ最中という方もいるでしょうし、中学生や高校生のお子さんがいる方もいるでしょう。


 もしくは、子どもはすでにいい大人になって子育てなんて過去の話、今は孫の成長を楽しみにしているという方や、この先の未来で子どもを授かる方もいるでしょう。




 どんな立場の方であれ子どもと関わるのであれば、今回の内容はずっと覚えておいていただきたいものになります。




 それではさっそく参りましょう。








乳幼児の学習


 生後しばらくたった赤ちゃんは、とにかく身の回りにあるいろんなものを触り、舐めて、口に入れます。赤ちゃんが触れるものの範囲はハイハイになると広がり、よちよち歩きになれば、さらにその世界は広がります。


 そしてこうした乳幼児の行動は、のちに大きな意味を持つのです。




 

 アメリカ メリーランド州の国立小児保健発育研究所の科学者たちは、ある研究で驚くべき発見をしました。


 

 生後5カ月の374人の赤ちゃんを対象に、どのくらい這い回り、周囲を観察し、身の回りのものを触るかを記録し、その後14年間にわたって彼らの成長を追跡調査した。


 その結果、14歳に成長した時点で上位の学業成績を収めていたのは、乳幼児期にとりわけ活発に周辺環境に関心を示した子どもたちだった。

 

 つまり、自分の周りの環境を積極的に調べようとする赤ちゃんほど、思春期を迎えたときの学校での成績が良いことが明らかになったのです。



 

 ここで重要なのは、乳幼児のそうした行動は生物としての本能ではあるものの、それらの行動を十分にさせてあげるには、やはり大人たちの手助けが必要だということです。


 赤ちゃんの周りの大人たちの行動や声かけ、より広く言えば、その大人たちによってつくられている文化や社会がどんなものかによって、赤ちゃんたちの行動が大きく左右されるのです。








幼児期の「指さし行動」


 ビガスとグリガという2人の研究者は、好奇心が旺盛な子どもと、そうでない子どもがいるのはなぜなのか、という謎を解き明かそうとしました。


 2人は、幼児が行う「指さし」の動作に注目しました。子どもは指さしをするとき、心理学でいうところの「共同注意」と呼ばれる行動をとっています。(自分が注目しているものに、他人の注意を向けさせようとする行動)



 ビガスとグリガの研究からは、以下のようなことが分かりました。


 

・子どもが指さしを行う頻度は、言葉の習得の速さと関係している。



・指さしを行う頻度が少ない子は、言葉の習得をはじめ、表情や身振りといった「社会的手がかり」の理解、他者から学ぶことなどに苦労する傾向がみられる。



・幼児は、自分が興味をもっていることを伝えたくて指をさすことが多い。つまり、あるものについてもっと知りたいと思い、大人がそれについて教えてくれることを期待していると考えられる。

 




 

 また、ビガスは次のような実験を行いました。

 

 生後16ヵ月の幼児たちを相手に、本やコップなど彼らにとって日常的に馴染みがあるものを、子ども一人ひとりと一緒に細かく観察する。


 第一グループの子どもたちには、何でもよく知っている常識的な大人として振る舞う。(馴染みのあるものを正しい名称で呼び、子どもたちが見慣れないものを指さしたときは、それがどんなものかを調べる手助けをする、など。)


 第二グループの子どもたちには、間抜けな大人のふりをする。(見慣れたものを知らないふりをしたり、コップを靴と呼ぶなどデタラメを言ったりする、など。)


 その結果、第二グループの子どもたちは、第一グループの子どもたちに比べて指をさす行動がはるかに少なかった。

 

 

 この研究で明らかになったことは、



・「指さし」は他者から学ぶことを目的としたとした行為である



・子どもたちが「指さし」をするかどうかは、周囲の大人しだいである



という点です。



 子どもは、明らかに無知で有益な情報を与えてくれなかったり、信頼できない大人を目の前にすると、「指さし」をやめてしまうのです。









大人の振る舞いしだいで、子どもの好奇心は増幅する


 コーネル大学の心理学者マイケル・ゴールドスタインは、幼児が知らないものの名前をどのようにして覚えるのかを調査しました。


 そこでは次のようなことが明らかになりました。



・赤ちゃんが喃語を発したタイミングをとらえてものの名前を教えると、そうでないときより赤ちゃんがその名前を覚える確率が高まる



 つまり、喃語は指さしと同様に、学習する状態が整っていることを知らせる合図なのです。


 親が赤ちゃんを無視せずに、何を知りたがっているのか想像して接すれば、赤ちゃんは好奇心を満たすために喃語を積極的に使うようになるでしょう。


 



 

 先ほども出てきたビガスは、次のような実験も行ないました。


 

 赤ちゃんの前に2つのおもちゃを並べて、どちらか一方を指さすのを待つ。


 それから、赤ちゃんが指さしたおもちゃか、そうでない方のおもちゃのどちらか一つを選び、どうやって遊ぶかやってみせる。


 その後、おもちゃをいったん片付け、10分したらまた持ってきて、赤ちゃんが教えられた通りに遊ぶかどうかを観察する。


 すると、赤ちゃんが最初に興味を示したおもちゃの方が、そうでないおもちゃに比べて教えられたとおりに遊ぶ確率がはるかに高かった。

 


 

 ビガスはこの実験の中で、赤ちゃんが親と遊んでいる様子を観察していました。そしてそこから、次のようなことが分かりました。



・親が呼びかけに頻繁に応じ、親からも問いかけられている赤ちゃんは、自分が選んだものの使い方をとてもよく理解している






 ここまでの話を通して、おぼろげながら分かってきたことがあります。



 それは、子どもが好奇心旺盛かそうでないかは、幼児期などの早い段階での非言語的な問いかけに親がどのように応じるかで決まる、ということです。





 子どもたちの好奇心は、生まれ持った才能というよりは、大人たちからの反応によって増幅することもあれば減退することもある、とても繊細なものなのです。




 好奇心旺盛な子どもやそうでない子どもがいるのではなく、あなたの反応が子どもをそうさせているのです。



 家族だけでなく、小さな子どもと接する機会がある人なら、そのことを肝に銘じておきたいものです。






【参考文献】

イアン・レズリー『子どもは40000回質問する』2016年(光文社)




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