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「『女性の方が人の心を読み取るのが上手い』は本当なのか?」


 お世話になります。孫平です。



 今回も『残酷すぎる人間法則』から、個人的におもしろかった研究をメモしておきます。(このシリーズはしばらく続くかもです…。)








「女性の方が人の心を読み取るのが上手い」は本当なのか?


 男性よりも女性の方が、人の気持ちの変化に敏感で、察知するのが上手いというのはよく聞く話ですが、果たしてそれは本当なのでしょうか。



 結論を先に言うと、本当です。




 様々な研究から、非言語コミュニケーションを読み取る能力は、年齢、研究方法、文化の違いに関わらず、男性より女性の方が優れていることが一貫して証明されているようです。



 ただし、その差はわずか2%であるという事実を覚えておくと、女性のみなさんは自分の能力を過信しないで済むでしょう。



 実は、男女によってその差はほとんどないんですね。








女性の方が人の心を読み取るのが上手い理由


 その理由は、生物学的要因によるものだと考えられることが多かったのですが、もっと根本的な原因を探った数々の研究から、あることが分かりました。




 それは、「男性よりも女性の方が、人の気持ちを読み取ることに意欲的」であるということです。



 これはつまり、男性よりも女性の方が人の気持ちを読み取る「能力」が高いわけではく、ただ単に「モチベーション」が高いから人の気持ちが読み取れる、ということを意味しています。



 なかなかおもしろいですね〜。






 この点を明確に示している研究として、心理学者のジェフ・トーマスとグレゴリー・マイオが行った2008年の研究では、


 

・男性被験者に「共感性を高めると女性があなたに興味をもつようになりますよ」と伝えた



・すると、男性被験者たちの人の気持ちを読み取ろうとするモチベーションが高まった



・その結果、他人の考えや感情を正確に認識する能力も向上した

 

とのこと。



 男性もモチベーションさえ高まれば、女性と同じように人の気持ちを読み取るのが上手くなるわけです。





 しかしこれは裏を返せば、モチベーションが下がれば、人の気持ちを読み取る能力も低下するということでもあります。



 実際に、



・不幸な結婚生活を送る夫たちは、妻の非言語コミュニケーションより、無作為に選ばれた見ず知らずの女性のそれの方が、正確に読み取れる



という研究結果もあるようです。



 「好き」の反対は「嫌い」ではなく「無関心」とは、まさにこのことですね。







 ある研究では、



・恋人との関係に不安を感じている女性たちに



・彼氏が、魅力的な女性からインタビューを受けている様子を見せた



・その結果、女性被験者たちの、彼氏の返答を正確に予測する能力が上がった





とのことで、自分自身に起きた危機的な状況によりモチベーションが高まり、彼氏の気持ちを読み取る能力が向上したわけで、こういうパターンもあるんですね。






 というわけで、人の気持ちを読み取る能力を向上させる方法は、




①相手に興味をもつように努めること



②そのためのモチベーションを高めてくれる、自分にとっての何らかの利益または損失を意識すること




が重要になってきそうです。





 念のため付け加えておくと、私たちが人の気持ちを正確に理解できる確率は、どれだけ頑張っても30%程度であることをお忘れなく〜。






【参考文献】

エリック・バーカー著、橘 玲 監訳、竹中てる実 訳『残酷すぎる人間法則』飛鳥新社(2023年)




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