いつもお世話になっております。孫平です。
みなさんは今の仕事に対して、「最高に楽しい!」「これは私にとって天職だ!」などと感じているでしょうか?
おそらく大半の人は、そうではないでしょう。
しかし、生きていくため、生活していくためには、裕福な人でない限り働かなければなりません。
そんな状況で、今の好きでもない仕事に意義を見出すことができたらどうでしょう?
もしかしたら、今よりも少しは前向きに、そしてささやかな幸せも感じながら、仕事に取り組めるかもしれませんよね。
今回はそんなお話をしたいと思います。
「天職」という幻想に苦しむ人たち
自分の仕事にやりがいを感じる人が少ないのはどうしてなのでしょうか?
イェール大学スクール・オブ・マネジメント教授のエイミー・レズネスキーによると、学生の多くが
「自分の天職はどこかに隠れていて、探せばきっと見つかると考えている」
そうです。
しかし、レズネスキーの研究によると、
「今の自分の仕事が天職だと感じている人は、50%に満たない」
そうです。
そのため、素晴らしい仕事やキャリアであっても、まったく満足できないケースが少なくないのです。
では実際に、「今の自分の仕事は天職だ」と感じている人たちは、自力で天職を見つけ出したのでしょうか?
これに関しては、天職だと感じている人の多くが、「たまたま、偶然、なんとなくやっていた仕事が、気付いたら天職になっていた」ということが、明らかになっています。
つまり天職というのは、見つけるものでもなければ、誰かから与えられるものでもなく、「自分で育てていくもの」なのです。
そのような考えがないから、どれだけ探しても見つからない「天職」をいつまでも探し続け、その幻想に苦しむ人たちが大勢いるのです。
まずは、この幻想から抜け出す必要があります。
言うまでもなく、天職についている人たちは、自分の仕事に「やりがいや意義」を感じています。
そしてその感覚は、今現在の自分の仕事がつまらない、好きじゃないと感じている人たちにとっても、非常に大切なものです。
それでは、具体的にどうすれば今の仕事に「やりがいや意義」を見出すことができるのでしょうか?
仕事に意義を見出す方法
ペンシルバニア大学ウォートン・スクールのアダム・グラントの研究によると、
「自分の仕事を『人の役に立つ』と考えている人々は、意義をより強く感じる傾向がある」
そうです。
ほぼ全ての仕事は「人の役に立つ」から存在しているので、その認識を強めることで、仕事への意義も強く感じられるはずです。
では具体的な方法をみていきましょう。
①顧客に注意を向ける
アダム・グラントとその研究チームによると、
「ある大学のコールセンターの資金調達担当者らは、寄付の候補者の人となりを知っていた場合は、そうでない場合と比べて、通話時間が142%増えた」
「また調達金額も、奨学生に会っていない担当者と比べて171%高かった」
そうです。
この研究から、私たちは自分の顧客にもっと注意を向けて、顧客の生活や仕事をどのように助けているかを知れば、自分の仕事に意義を見出しやすくなると言えそうです。
②自分自身と自分の仕事のパーパス(重要な目標)を常に忘れない
この「パーパス」とは例えば、会計事務所で働いているのなら、「税務処理という厄介な仕事を肩代わりすることで、顧客や顧客企業を助けている」とか、
私がやっているこのブログなら、「顧客が本を探す・買う・読む時間と労力を肩代わりすることで、少ない時間と労力で役立つ知識を提供している」といった感じのことになります。
どんな仕事でも、必ず誰かの役に立っていて、何かしらの目的を果たしているはずなので、まずは自分自身や自分の仕事における「パーパス」を再認識してみて下さい。
もし、どうしてもパーパスが出てこないというときのために、奥の手があります。
WHUオットー・バイスハイム経営大学のヨッヘン・メンゲスらの研究チームによると、
「仕事がつまらないと回答した人は、やりがいがあると答えた人と比べて、概して生産性が低かった。しかし、つまらないと答えた人の中でも、家族を支える手段の一つと見なしている場合は、生産性への影響は見られず、仕事にも意欲的だった」
そうです。
ここでいう「家族を支える」というのは、家族を支えているという感覚そのものもそうですが、住宅ローンの返済、学費や習い事の費用の調達、休暇に出かけるため、といったことも含まれています。
また独身で一人暮らしの場合でも、自分のローンの返済や、趣味のための資金調達などが働く目的になったとしても、仕事の生産性は低下せず、意欲も維持されます。
つまり、たとえ今の仕事がつまらなすぎたとしても、「家族や自分自身を助ける手段の一つ」として認識するだけで、それが仕事の意義に繋がるのです。
自分の仕事を、顧客・家族・自分自身を助ける絶好の機会だと捉えることができれば、どんな職業であっても、より意義を感じられるはずです。
【参考文献】
ハーバード・ビジネス・レビュー編集部『働くことのパーパス』2021年(ダイヤモンド社)
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