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「リーダーが正しい判断を下すためにとるべき3つの行動」


 お世話になります。孫平です。



 今回は、マサチューセッツ工科大学リーダーシップ・センターのエグゼクティブディレクターであり、『問いこそが答えだ!』の著者としても有名な、ハル・グレガーセン先生の『Bursting the CEO Bubble』(R)を参考にみていきたいと思います。





 社長や幹部社員、リーダーなどの役職者といった組織の中で地位の高い人たちは往々にして、その権力や特権ゆえに、社内の誰よりも情報に疎くなってしまうことがあります。



 また、なまじ能力や経験があるがゆえに自分を過信したり、周囲の人々を軽視してしまい、迫り来る変化や危機を察知できなかったり、誤った判断を下してしまうこともあります。(実際の研究でも、組織の中で地位が高くなるほど、地位が低い人たちに対する共感能力が低下することが分かっています。)






 そこでグレガーセン先生は、「リーダーが正しい判断を下すためにとるべき3つの行動」と、それをサポートする「10の質問」を提示してくれていましたので、さっそく紹介していきましょう。









①自分が間違えている状況に身を置く



 一般的なリーダー像といえば、自信に満ちた態度で物事を決めていくイメージがあります。



 ですから、「自信がなさそうな態度ではリーダーとして相応しくない」と思い込んでいると、自分が知っていることの中からしか答えを見つけようとしなくなり、自分が知らないことや間違えている可能性が高いことは、意思決定の判断材料から切り捨ててしまいがちになります。



 自分の体裁を守ろうとした結果、適切な判断を下すために必要な情報を自ら限定してしまい、誤った判断を下すことに繋がってしまうわけです。






 また、アメリカの証券会社チャールズ・シュワブのCEOであるウォルト・ベッティンガーはこのように述べています。



「成功しているリーダーとそうでない人の違いは、意思決定の質ではない。おそらくどのリーダーも60%は正しい判断を、40%は間違った判断を下している。違いは、成功しているリーダーは判断の誤りを認識して是正するのが速いことである。失敗しているリーダーは意見を譲らず、自分が正しいのだと社員を説得しようとしがちなのだ。」










②居心地が悪い状況に身を置く



 正しい判断を下すまでの過程では、必ずといってよいほど、「自分は有能であらゆる状況を把握している」と感じる領域から脱却しなければなりません。




 アメリカの神話学者であるジョゼフ・キャンベルは、「つまずくと、そこには宝がある。入っていくのが怖いと思う洞窟にこそ、探しているものがある」と述べています。




 自分の得意な領域から離れ、居心地の悪い状況になるほど、周囲への集中力が高まり、刺激に鋭敏になります。


 情報が少なく、その先の状況も見通せないからこそ、次の判断を下す前にありとあらゆる情報をすすんで収集するようになるのです。










③口を閉じ、周囲の声に耳を傾ける



 一般的なリーダー像は、人を惹きつける言葉や説明で周囲の人々を導いていくイメージがあります。



 そして実際に「自分がみんなを引っ張っていかなければ!」と、そのイメージに縛られ過ぎているリーダーも数多くいます。




 それでは部下の立場ではどうでしょうか。会話がリーダーからの一方通行で、いつも上から目線、こちらの要望には聞く耳をもたず、しまいには「それは君たちが間違っている」などと言われる始末。




 果たしてこのようなリーダーに、周囲から情報が入ってくるでしょうか。入ってくるわけがありません。





 リーダーが正しい判断を下すためには、組織の中で起こっているかすかな危険信号をいち早く把握したり、自分だけでは思い付かない新たなアイデアや情報に触れることが不可欠です。




 そのために、まずはその独りよがりにペラペラ喋る口をかたく閉じよ!ということです。次に、正しいとか正しくないといった判断を挟まず、ただただその人の話を聴く!そして、沈黙が起きてもそれを破ろうとせずひたすら我慢する!最後の仕上げとして、適切な質問を挟んでいく!



 技術というよりは、まずはそのような心構えをもつことがリーダーにはなにより重要です。



 リーダーの役目とは「話すことよりも、聴くことである」というのを肝に銘じておきたいものです。










リーダーの繭から抜け出すための10の質問リスト



 ここまで述べてきた通り、リーダーはその地位や役割、能力ゆえに、斬新なアイデアや情報、かすかな危険信号といったあらゆる情報から隔離されてしまうことがあります。




 そこで最後にグレガーセン先生が提唱する、「リーダーの繭」に閉じこもっていないかどうかを確認するための10の質問を載せておきます。



 

①あなたと直接話をするために、部下はいくつの壁を乗り越えなければならないでしょうか?




②1週間のうち、自分の仕事場以外の部署で過ごす時間はどれくらいありますか?




③最後に仕事で何らかの致命的な間違いをしたのはいつでしょうか?




④自分の間違いをどれだけ迅速に開示していますか?どれだけ迅速に方向転換していますか?




⑤職場で社員から答えにくい質問をされる頻度はどれくらいありますか?




⑥気まずい思いをさせられる社員と話す頻度はどれくらいありますか?居心地が悪いと感じる場所で過ごす時間はどれくらいありますか?




⑦普段の会話のうち、質問の割合はどれくらいで、自分の意見の割合はどれくらいですか?




⑧相手が質問に答えるのを、3秒以上黙って待つ頻度はどれくらいありますか?




⑨今週、質問に対して何回「わかりません」と答えましたか?




⑩挑発的な質問をして、組織の改善につながる答えを引き出したのはいつですか?

 




 リーダーの人たちは、定期的に上記の質問を自分に投げかけて現在の状態を確認し、必要に応じて自分の不得意な分野や、居心地の悪い場所に身を置いたり、部下の話に意識して耳を傾けてみると、「リーダーの繭」に閉じこもらずに済むのではないでしょうか。






 それではまたお会いしましょう。






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