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「ビッグファイブ(5つの因子)前半」

更新日:2022年4月17日




 いつもお世話になっております。孫平です。



 今回は、先日実施したビッグファイブテストの5つの因子について、ざっくりとみていきたいと思います。




 おさらいですが、ビッグファイブは、例えば「誠実性のある人」といったような特定のタイプに人を当てはめるものではありません。


 誠実性、協調性、情緒安定性、開放性、外向性の5つの因子それぞれの尺度によって、総合的に表されるものなのです。



 そのため、例えば全ての因子の尺度が平均より高い人もいれば、低い人もいますし、一つの因子だけ高くてその他は低いという人もいるでしょう。



 また、尺度が真ん中に近づくほど、両向型であるといえます。









①誠実性


 誠実性のスコアが高い人の特徴としては、「計画性がある」「規律正しい」「注意深い」「忍耐強い」「賢明」「非衝動的」といったものが挙げられます。



 逆にスコアが低い人の特徴としては、「無秩序」「自発的」「不注意」「軽率」「衝動的」といったものが挙げられます。




 このような特徴の違いを見ると、誠実性が高い方がいいように思えます。実際、多くの研究で、誠実性の高さと幸福度の高さには相関があることが分かっています。



 例えば、誠実性が高い人の方が、学業や仕事で良い結果を出しやすかったり、健康的で長生きしやすいことが分かっています。




 しかし、必ずしも誠実性が高い方がいいとは言えないこともあるのです。


 誠実性の高い人は、秩序立った予測しやすい環境では上手く適応でき、期限内でのタスクの完了が求められる状況でも力を発揮します。


 ところが、変化が激しく混沌とした環境は苦手であり、そのような突然の変化にも上手く対応できるのは、誠実性の低い人の方なのです。




 ボブ・ホーガンとジョイス・ホーガンが行った、ジャズミュージシャンを対象にした研究では、誠実性が低い人の方が周りからの評価が高いことが分かりました。


 これは、ジャズのような即興演奏が求められる場面では、規律正しさよりも、その場その場でのクリエイティビティの方が良い影響を与えるからだと考えられます。





 ここから分かるのは、ポジティブな特性もネガティブな特性も、環境によって活きることもあれば死ぬこともあるということです。



 私たちは自分の特性を知り、その特性が活かされる環境に身を置くよう意識しなければいけないのです。









②協調性


 協調性の高い人の特徴としては、「感じがいい」「協力的」「友好的」「支援的」「同情的」といったものが挙げられます。



 逆に低い人の特徴としては、「皮肉屋」「対立的」「非友好的」「意地が悪い」といったものが挙げられます。




 協調性が高いことは、社会的に望ましい特性であるとみなされているのは明らかです。


 私たちには本能的に、「この人は私の味方になる人か、そうでないか」をとっさに判断しようとする習性があります。この習性は、人類の長い進化の過程で培われてきたと言われています。




 実際に、協調性が高い人は良い人間関係を築きやすいため、精神的にも良い影響を受ける結果、幸福度や健康レベルが高い傾向があります。


 



 このように、一般的にそのスコアが高い方が望ましいと考えられている協調性ですが、実は他の4つの因子と比較すると、成功との関連性が一番低いことが分かっています。



 特に、サラリーマンなどの「組織」に所属している人の場合は、協調性が高いことで、むしろ職業人としてのパフォーマンスが低下するというのです。



 その理由として考えられるのは、協調性が高いことで、「自分の時間やお金を他人のために使ってしまう」ということです。


 いわゆる「ギバー(与える人)」です。



 協調性が高いが故に、自分の時間やお金がなくなっていく人は、「自己犠牲のギバー」である可能性が高いです。このような人は、他人からいいように使われ搾取されて、どんどん貧しくなっていってしまいます。




 では、協調性は低い方がいいのかというと、やはりそうとも言えません。




 言うまでもなく人が生きていくためには、必ず他者との関わりが必要になります。


 仕事でもプライベートでも、他者と友好な関係や協力関係を築くことで、物理的にも精神的にも自分自身が助けてもらえる可能性は上がります。つまり、生存率が上がるということです。





 これらを踏まえると、協調性についての考え方としては、「協調性は高すぎても低すぎてもパフォーマンスが低下するため、中程度が望ましい」ということになるでしょう。



 いい人すぎても、意地が悪すぎてもダメで、バランスよく人柄の良さとわがままさを持ち合わせていることが一番いいのです。






 次回は、ビッグファイブ(5つの因子)の後半、情緒安定性、開放性、外向性の特徴についてみていきたいと思います。





 それではまたお会いしましょう。







【参考文献】

ブライアン・R・リトル『自分の価値を最大にする ハーバードの心理学講義』2016年(大和書房)




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