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「セックスでストレス対策」

更新日:2022年4月11日




 いつもお世話になっております。孫平です。


 

 さて、みなさんには日常的にセックスができるパートナーはいますか?


 もしいるのであれば、「どんどんヤる方が健康にはいい」というのが今回の話になります。




 それではその内容について、具体的にみていきましょう。









性器を刺激すると、痛みに強くなる


 これは、ラトガーズ大学の研究チームによる実験です。



 

被験者は女性。照明を暗くしたカーペット敷きの部屋で、マッサージ器で自分の性器を刺激してもらう。


その間、ネジ式の道具(中世ヨーロッパの拷問道具のような物)で、少しずつ指に圧力をかけて痛みを与えた。




実験の結果、性器を刺激している間は、痛覚閾値(痛みを感じる圧力)が42%上昇し、耐痛閾値(痛みに耐えられる限界の圧力)が30%上昇することが分かった。


さらに、オーガズムに達した瞬間の痛覚閾値は107%、耐痛閾値は75%まで上昇した。



ちなみに、ナイロンブラシで手の甲をなでて確認していた触覚閾値は、性器刺激中も何も刺激していなかったときも変化はなかった。

 


 つまり、性器を刺激したときの女性たちは、痛みに対して強くなっていたのです。




 研究チームは、その理由を2つ挙げています。



 1つは、性器刺激の強い快感で、神経伝達物質の「セロトニン」と「ノルエピネフリン」が分泌され、無痛覚状態が引き起こされたこと。



 もう1つは、出産の痛みに耐えられるよう女性の体が進化してきたためではないか?というものです。



 この実験は女性しか対象にしていなかったため、男性にも同様の実験を行えば、本当に出産と関係があるのかどうかが分かるはずです。


 今後の研究に期待です。









セックスをすると、ストレスに強くなる


 プリンストン大学では、こんな実験が行われました。



 

発情期を迎えたメスのラットをあてがわれ、1ヶ月間交尾をしていたオスと、発情期でないメスのラットと1ヶ月間過ごしたオスの不安度を、「NSFテスト(新奇環境による摂食抑制試験)」で調べた。


(このテストは、ラットにとっては不慣れな、明るくて広い空間で餌を食べさせるもので、ラットの不安が強いほど、餌を食べ終えるのに時間がかかる。)



実験の結果は、1ヶ月間交尾していたオスは、比較的短時間で餌を食べ終えた。一方、そうでないオスは交尾していたオスよりも、食べ終える時間が2倍近く長かった。

 






 ペイズリー大学では、人を対象に実験を行っています。


 

成人男女の被験者に、性的活動の日誌を2週間にわたってつけてもらい、その後人前でスピーチをするというストレスフルな課題を与えた。


すると、セックスをより多くしていた人たちは、そうでなかった人たちより血圧反応性が良く、ストレス度が低いことが分かった。

 


 これら2つの実験からは、習慣的なセックスがストレスを軽減してくれる、ということが分かりました。


 愛は偉大なり、セックスは偉大なり、ということですね。









セックス、セックス、またセックス!


 イカれた変態野郎だと思われても仕方のない見出しですが、私はいたって真面目です。


 これはエロい話ではなく、非常にアカデミックな話ですから。(けっこう楽しんでますが)





 さて、セックスをすれば健康には良さそうだということが分かりました。


 でもいくらセックスした方がいいといっても、絶倫でもない限りそんなにできるものではないですよね。




 そんな方に是非知っておいていただきたいのが、「クーリッジ効果」というものです。



 これは、アメリカ合衆国第30代大統領 ジョン・カルヴィン・クーリッジ・ジュニア(1923〜1929年在任)と、その妻との、ある逸話からその名が付けられました。


 

 養鶏場にやってきた大統領夫人は、オスがさかんにメスにのしかかる姿を目の当たりにした。


 交尾が一日数十回にもなると知って驚いた夫人は、大統領が来たらその話をしてくれと冗談で頼んだ。


 別の日にその話を聞いた大統領は、「オスの相手はいつも同じメスか?」と尋ねた。


 「違う。」という答えに大統領はこう言った、「妻にその話をしてやってくれ。」

 



 この逸話から、性行動の一現象を表す用語として「クーリッジ効果」は使われています。



 つまり、交尾を繰り返して消耗し、同じメスでは無反応になったオスでも、新しいメスの登場で性欲が蘇る、というものです。




 1960年代にカリフォルニア大学がラットを使った実験では、交尾をして性的に消耗した後、新しいメスをあてがわれたオスは86%が射精まで至ったのに対し、同じメスが相手だったオスは33%しか射精しなかった、そうです。


 この傾向はメスにも当てはまることが、1980年代半ばに行われた、メスのハムスターを使った実験でも確認されているようです。





 このようなクーリッジ効果がなぜ起きるのか、その理由は、生物としての種の存続という観点から考えれば分かりやすいでしょう。


 つまり、たくさんの相手と交尾できた方が、それだけ妊娠・出産の可能性が高くなり、子孫を残せる確率が高くなるというわけです。



 道徳的な議論はさておき、これが遥か昔の祖先から脈々と受け継がれてきた、生物としての本能なのでしょう。そのおかけで、私たちも、今地球上にいる全ての生き物も、こうしてこの世に生を受けているのですね。







 さて話は変わって、とはいえ現代の人間社会において、一部の国や地域、一部の人々は例外として、パートナーを取っ替え引っ替えセックスしまくるというのは少々無理があります。



 ではどうすれば同じパートナーでも、クーリッジ効果を発動できるのか。





 正解は分かりませんが、方法として考えられるのは、


・コスプレをする(下着も含め)

・場所を変える(ホテル、旅館、車内、野外など)

・設定をつくり役割を演じる

・大人のおもちゃ、小道具を使う


といったところでしょうか。




 みなさんからも良いアイデアがあれば是非教えて下さい。




 


 言うまでもなく理想なのは、お互い魅力的であり続けいつまでも愛し合えるような関係ですが、2人とも相対ストイックに努力しない限り、現実としてなかなか難しいでしょう。


 普通は歳をとればとるほど私たちの体は老化していくので、外見的な魅力は下降の一途を辿るばかりです。



 


 でもセックスはできれば習慣的にした方がいい。



 となれば、先ほどいくつか挙げたような、お互いがお互いに(性的に)飽きない工夫をすれば良いと思います。




 お互いの健康のためにも、クーリッジ効果を発動させるトリガーを、いくつか持っておきましょう。




 素晴らしいセックスライフを!

 健闘を祈ります。







【参考文献】

リチャード・スティーヴンズ『悪癖の科学 その隠れた効用をめぐる実験』2016年(紀伊國屋書店)




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