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「その選択はあなたの意思ではない⁉︎〜極端回避性〜」

更新日:2022年4月14日




 いつもお世話になっております。孫平です。


 今回は前回に続いて、私たちの「選択」に関するお話をしていきたいと思います。


 


 実は私たちの日常生活(特に購買活動)では、人間の心理をうまく使われて、まんまとカモられていることがよくあるのです。(私もよくあります…)


 

 今回の話は、みなさんも冷静に考えたら思い当たる節がある内容だと思います。それを知識として頭に入れておくだけで、カモられるとことなく、しっかり自分の意思で本当の「選択」ができる可能性が高まるはずです。


 


 それでは具体的にみていきましょう。まずは次の問いに対して、みなさんだったらどうするか、考えてみて下さい。






極端回避性・ゴルディロックス効果


 みなさんはピアノのコンサートに行くことになりました。(例なのでピアノに興味がない方は、好きなアーティストのライブや、スポーツ、演劇などに置き換えてみて下さい。)

 

 

 次の①と②の選択肢がある場合、みなさんだったらどの席を買いますか?



①A席5,000円、B席3,000円


②S席12,000円、A席5,000円、B席3,000円



 

 さて、どうでしたでしょうか。状況によって変化する可能性もありますが、一般的に①の場合は、B席3,000円が選ばれる可能性が高いです。


 しかし、S席12,000円が加わった②になると、なんとA席5,000円を選ぶ人が多くなるのです。



 

 みなさんも、外食に行ったときや、買い物に行ったときに、なんとなく真ん中の価格帯を選んでしまうことはないでしょうか?


 この心理作用を、「極端回避性」といいます。

 

 


 人間は、選択肢が2つであれば、自分にとって損か得かの判断が容易につくのですが、選択肢が3つになるととたんにその判断が難しくなるのです。


 

 一番高いものは当然、それだけのお金を払うことに躊躇しますし、そこまでの贅沢は必要ないと思うものです。

 

 しかし一番安いものに対しても、あんまり良いものじゃないんじゃないか?安いからといってお金を払っても、機能が悪かったりすぐ壊れたり、不味かったり、全然楽しめなかったりして、結局損をするんじゃないか?といった不安を感じてしまうのです。


 


 その結果、コストパフォーマンスが一番優れている(と思い込んでいる)、真ん中の価格帯の選択肢を選ぶというわけです。

 

 一番高い選択肢または一番安い選択肢がなかったら、簡単に自分の意思で選択できていたにもかかわらず、松竹梅の選択肢になるとそれが難しくなります。

 

 


 そのため私たちはできるだけ楽をしようとして、それぞれの選択肢そのものの価値ではなく、単純な比較によって極端な選択肢を回避して、非合理的な判断をしてしまうのです。


 


 人間がもつこの極端回避性を利用して、何かを売る側は、一番売りたいものを真ん中の価格帯に設定するなどの仕掛けをしています。(ゴルディロックス効果







自分に本当に必要な選択をするために


 私は、松竹梅の選択肢があったときに「竹」を選ぶのはおかしいと言いたいわけではありません。


 

 大切なのは、「松」でも「竹」でも「梅」でも、自分が本当にその選択肢が良いと思って選んだのか?、自分の極端回避性や店側が仕掛けるゴルディロックス効果に惑わされて選んでいないか?、ということを一呼吸おいて考えてみることです。



 


 

 そもそもなぜこんな非合理的な判断をしてしまうシステムが、私たちに備わっているかというと、一言でいえば私たちの遥か祖先の原始時代においてはその方が「生存に有利」だったからです。

 ここでその理由を語るには、テーマが壮大過ぎるので、いつかお話できればと思います。


 とにかく、もともと私たちに備わっている非合理的な判断システムは、メリットがあるから遺伝子に受け継がれてきたわけです。


 現代の私たちの生活でいえば、いちいち「それは合理的か?」みたいな判断をしていたら、単純に疲れるしストレスが溜まるし、そのことに考える時間を使うこと自体非合理的だともいえます。

 

 私たちには、できるだけ省エネで物事を処理するシステムが備わっているのです。


 


 ではなぜ人間の心理に(少しだけ)抗って合理的に生きてみませんか、という提案をするのかというと、こちらもやはりメリットが大きいからです。


 

 要はバランスが大切だということです。自分の本能だけに頼って生きていくのと、自分の本能と理性(知識)をバランス良く使いこなして生きていくのとでは、どちらがよりよい人生を歩めるかは明白だと思います。




 

 話がだいぶそれましたが、最後にビジネスでこの「極端回避性」「ゴルディロックス効果」を利用する方法をみていきましょう。






一番売りたいものを中価格帯に


 もしみなさんが仕事の中で何か売りたいものや、会社の方針で売らなければならないものがあるとしたら、その商品やサービスの前後を高価格帯のものと低価格帯のもので挟んであげて下さい。


 

 それによってお客は、高価格と低価格という極端なものを避けて、みなさんが一番売りたい中価格帯に設定したその商品を買う可能性が高くなります。


 

 さらに言えば、「高価格・中価格・低価格」の価格差は、「6:4:3」が一番効果的だと言われていますので、そのあたりを意識してみると尚良いかと思います。


 

 


 私も会社ではそうでしたが、会議などで「極端回避性」「ゴルディロックス効果」を利用した販促方法について提案したときは、周囲からもかなり感心されました。


 言われてみれば誰もが経験したことがあることですが、売上アップに繋がりそうな具体的で非常に簡単な方法として、会社にはウケたようです。


 

 大企業や、そういう専門部署がある会社ではごく当たり前の戦略だと思いますが、私と同じ地方の中小企業の方は、そうした発言をすることで一目置かれる可能性もあるかもしれませんね。


 

 自営業の方も、この戦略を使って販売してみた効果があれば、是非その経験談を共有していただけると嬉しいです。


 

 それではまた次回お会いしましょう。




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