お世話になります。孫平です。
現在、『残酷すぎる人間法則』(エリック・バーカー著)という本を読んでまして、その中から個人的におもしろいなと感じた研究をメモしておきます。
人の気持ちを正確に理解できる確率は30%
シカゴ大学の心理学者ニコラス・エプリーが行った実験では、被験者にビデオに出てくる人の考えや気持ちを察してもらうようお願いすると、
・被験者が見知らぬ人の場合の正答率は20%
・被験者と親しい友人の場合の正答率は30%
・被験者の配偶者の場合の正答率は35%
だったとのこと。
つまり私たちは、どれだけ深い関係の相手であっても、その人の気持ちや考えは30%程度の確率でしか言い当てることができないそうなのです。
さらにイタいことに、私たちは他人の気持ちを82%の確率で正しいと思っていて、さらにその相手との関係が長ければ長いほど、相手の気持ちを正確に理解できているという自信は高くなるとのこと。(もちろん、正答率は変わらず30%程度にもかかわらず。)
そのため、悩み事を相談したときの常套句である「あなたのその気持ち、よく分かるよ。」を言ってくる人が、本当にあなたの気持ちを理解している確率は科学的に言えば30%ということになり、おそらく理解できていないと思われます。
さらにタチの悪い(⁉︎)ことに、相談に乗ってくれた相手との関係が深いほど、その相手は心の底からあなたの気持ちを理解していると思い込んでいます。(実際には30%の確率でしか理解できないにもかかわらず。)
正しく共感はできていないが、アドバイスは的を射ているかも
このように、「あなたのその気持ち、よく分かるよ。」と言ってくる人が、本当にあなたの気持ちに正しく共感できているかはかなり怪しい部分があるわけですが、あなたの気持ちを分かってあげたい!という想いはおそらく本物だと思います。
また、マインドフルネス・セルフコンパッション・トレーニングでは、「自分の悩みを友人の悩みとして捉え直し、友人にアドバイスするように自分にアドバイスをする」という手法があります。
そして、ある同じ悩みでも、自分が抱えていた場合は、あらゆるバイアスにとらわれてしまい上手く解決策を導き出すことができないが、友人がその悩みを抱えていた場合は、問題を客観的に捉えられるため適切にアドバイスができるということが、多くの研究から明らかになっています。
そのため、友人などに何かを相談するときは、「友人は自分の気持ちを正確に理解していないかもしれないが、自分のことを助けてあげたいという気持ちは本物だろうし、アドバイスはけっこう役に立つから参考にしよう。」というスタンスで臨むといいのではないかと思います。
【参考文献】
エリック・バーカー著、橘 玲 監訳、竹中てる実 訳『残酷すぎる人間法則』飛鳥新社(2023年)
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